信号で止まると何かが起きる!?|ハーレー 新型パンアメリカ試乗インプレッション

photography : Kazumi Ogata

ニュルブルクリンクVLN耐久レースなど国内外のレース、ラリー、ドリフトにシリーズに参戦する「三刀流」女性プロドライバーとして充実したモータースポーツ活動を展開する塚本奈々美さん。4輪ドライビングテクニックは折り紙付きだが、バイクについてはまだこれから。2年前に大型自動二輪免許を取得してはいるものの、普段は渋くXJR400で楽しんでいる。今回はハーレーダビッドソンが拓く新しいアドヴェンチャーカテゴリーとして、パン アメリカに試乗してもらった。




初めて一般道で乗る大型バイクがハーレーダビッドソンだなんて、ある意味とてもラッキーと思っていましたが、到着した試乗会場の軽井沢は土砂降りの雨。しかも相手は威風堂々としたスタイルのパン アメリカ。さすがにバイクにまたがった時の重量感には少し緊張しましたが、一度走り出すと驚くほど安定して走るのでいつの間にかツーリング感覚を楽しんでいる私がいました。鬼押ハイウェイの長いストレートは雨でも快適そのもの。さらに驚いたのはコーナリングです!バイク初心者の私でも山道でのライントレースが楽々でした。

大きく迫り出したフロントカウルは、ロードグライドのカウルデザインを彷彿とさせる。フロントタイヤフェンダーの出っ張りもなくすっきりとしたデザインだ。

マフラーを避けるために左右のパニアバッグの幅が異なるデザインを採用している。すべてのバッグがキー一つで簡単に脱着できる。

慣れてきたせいか、ライディング中に腰を浮かせてみたり、左右に降ってみたり、舗装の悪いところをわざと走ってみたりと、いつの間にかこの大きなパン アメリカを振り回している自分がいました。乗り物は何でも乗りこなしてみたいという気持ちは、私の生まれ持った気性なのでしょうね。

試乗会当日に乗ったのはS(スペシャル)でないベースグレードのパン アメリカでした。それでもトラクションコントロールなど、安全装備がしっかりと充実しているのも女性の私には魅力的でした。また、色々とライドモードがあることも、自分の運転レベルや好みに合わせることができるので評価ポイントが高いです。今回は雨のツーリングでしたので主にレインモードで走りましたが、ロードモード、スポーツモードも試しました。ライドモードではアクセルを開けた時のダイレクト感のみが変わるものでしたが、雨の路面にスポーツモードは少し緊張感が走る。この状態ではレインモードが心地いい。もう少しダイレクト感が欲しい方にはライドモードも良いかと思います。

様々な走行モードも選択できるタッチパネル式6.8インチディスプレイ。視認性や操作性に優れ、従来のハーレーダビッドソンとは異なる機能を重視した仕様となっている。

新しいRevolution Max 1250エンジンを採用。今後は幅広いモデルへ展開される予定。水冷DOHC 4バルブで、吸排気双方に可変バルブタイミングが備わっている。

後日、念願の晴天でのツーリングを東京都内でリベンジ!今回の試乗車は、さらに装備が充実しているパン アメリカSです。自然の中ではもちろんですが、都会でも絵になるスタイル!街中のどんなシーンでも不思議とマッチするその姿には驚きました。オフロードなどのアクティブなシーンでの存在感は大自然に負けず、都会ではスタイリッシュな面や、立ち並ぶビルに負けない雰囲気を醸し出していて頼もしい。今回一番試したかったのは「アダプティブライドハイト(ARH)」です。これは停止時に車高が下がり、足つきもよくなるのでストップアンドゴーの多い街中では欠かせないと思います。もう少し具体的に説明をすると、ARHはパン アメリカ1250Sではシート高が830mm~873mmで自動的に高さが調整されるもの。停車中にはシート高を低くし、走行中は最適な車高の間で自動的に切り替える素晴らしい技術です。軽井沢で最初に乗ったパン アメリカ1250のシート高は890mmでしたので、身長165cmの私にとって、この装備がどれだけ有り難かったかは想像以上でした。電子調整式サスペンションシステムとARHとの組み合わせで、ライダーと同乗者、荷物負荷などを自動で制御して最適な乗り味を創り出してくれる装備。これは女性だけでなく誰にとっても大歓迎といえます。

ブレンボ製ディスクブレーキを装備。スポークホイールはタイヤブレードの外側にスポークを装着することでチューブレスタイヤの装着が可能になっている。

燃料タンク容量は21.2ℓと十分。ハーレーダビッドソンのロゴである「バー&シールド」が大きく描かれた1250スペシャルのサイドデカールデザインは秀逸だ。

アダプティブライドハイトによる車高調整幅は5cm。それ以外にシートそのものも、さらに手動で簡単に高さ調整が可能だ。

ゆったりとしたツーリングからアクティブはオフロード、そして都会でのスタイリッシュな使い方など、様々なシーンをこの1台で楽しめるんだなぁというのが私の印象です。ちなみに軽井沢ではストリートボブ114とロードキングの2台も試しました。初めて足を前に突き出したライディングポジションに驚いたり、「これぞハーレー!」というスタイルに魅了されたり。どれも味のあるバイクですが、このアドベンチャーが加わることで、私にとってハーレーダビッドソンのブランドイメージが大きく変わりました。ほかのハーレーダビッドソンは、私なりの視点でこれから徐々に紹介していきたいと思います。

都心での走行で「慣れれば少し小柄な方でも十分に乗りこなせるのでは」と語る塚本奈々美さん。1250スペシャルの足付き性の良さを高く評価していた。


ハーレーダビッドソン・パン アメリカ1250スペシャル

サイズ:全長2265mm
ホイールベース:1580mm
重量:258kg
エンジン:1252cc 水冷4ストロークV型2気筒DOHC 4バルブ
最高出力:152PS(112kW)/8750rpm
最大トルク:128N・m(13.1kgf・m)/6750rpm
トランスミッション:6段MT
価格:268万0700円~


インプレッション:塚本奈々美 まとめ:オクタン日本版編集部 写真:尾形和美

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