デイト表示に込められたドイツ時計の矜持 ~MORITZ GROSSMANN~

ドイツ高級時計の伝統を現代に受け継ぐ、モリッツ・グロスマン待望の新作が登場した。2針+スモールセコンドの主力モデルに、新たにデイト表示を備えた「アトゥム・デイト」は、ブランド哲学をより明確に打ち出す。

カレンダー機能は「アトゥム」初であるだけでなく、モリッツ・グロスマンとしても初採用になる。腕時計としてはスタンダードともいえる機能だが、それだけに針一本の仕上げにもこだわり、原点を極めるブランドにとってはさぞかし心血を注いだ開発だったに違いない。そう感じさせるだけの渾身作だ。

chrono_170905_moriz (1).jpg

表示は通常の小窓式ではなく、文字盤の外周に記された日付をブラケット型マーカーが移動し表示する。小窓式に対して、針が重なって読みづらくなることなく、文字盤にも無粋な穴を開けずにすむ。淡いブルーの日付もさりげなく、全体の美しい調和を崩さない。

しかしそれ以上に眼目は機能にある。マーカーは深夜0時に瞬転し、日付合わせも10時位置に設けたリュウズで送り戻しが自由にできる。しかも時間帯に限らずいつでも調整可能なのだ。こうした操作性に加え、日付合わせ時の誤作動により、内部を破損してしまうトラブルを回避している点も見逃せない。あえて専用リュウズを増設したのもそのためだ。日付合わせを頻繁にすることは少ないだろう。だが可能性がある以上はどれほど手間をかけても対処する。もうひとつのリュウズはそんな厳格なものづくりを象徴する。

美しく、性能的に優れることは当然、さらに人間が使う上での不測の事態も想定してこそ道具としての完成度が上がる。それはドイツ車にも共通する精神性であり、車好きならばきっと共感するに違いない。

ATUM DATE
アトゥム・デイト

デイト機構を一体設計したCal.100.3は、外周に備えたマーカーで日付を表示する。時刻と日付調整の機構は通常切り離され、負荷をかけず、操作時のトラブルも防ぐ。従来モデルに対し、ケース厚も0.5mm増に抑えた。RG(ローズゴールド)とWG(ホワイトゴールド)のケースを揃え、それぞれ異なる仕上げの針とインデックスを組み合わせる。

chrono_170905_moriz (2).jpg

パワーリザーブ約42時間。手巻き、ケース径41㎜、RG:420万円(税抜)

文:柴田 充 Words:Mitsuru SHIBATA

モリッツ・グロスマン ブティック
TEL:03-5615-8185

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事