元オーナーはあの名優!トム・ハンクスともに全米を旅したトレーラーとは?

Bonhams

ワリー・バイアムが製作したアルミニウム製の流線型のエアストリーム・トラベル・トレーラーは、何世代にもわたって旅行者に柔軟性と自宅の快適さを提供してきたことで有名である。これまでに何万台も製造され、バイアムをはじめとするエアストリームの旅行者たちは、遠く離れた場所への冒険やツアー、複数の旅行者によるキャラバンのために使用してきた。しかし、この1992年式のエアストリームモデル34リミテッドは、エアストリームのもうひとつの用途である、個性的で自給自足のできる、家から離れた場所での生活や、パネルで作られた既製品のトレーラーとは違うサードプレイスとして、非常に重要な役割を果たしている。

2021年8月13日のクエイル・ロッジ・オークションにて、アカデミー賞主演男優賞を2度受賞したトム・ハンクスが1993年に購入し、自ら装備を整えたエアストリーム・トラベル・トレーラーが出品される。このエアストリーム・トレーラーは、過去四半世紀にわたり、アメリカ中の映画制作現場でハンクスの憩いの場となっていた。その窓には、1993年の『めぐり逢えたら』から2017年の『ザ・サークル』まで、使用された18箇所のロケ地を示す小さなカチンコが飾られている。







ハンクスは、『Bonhams Magazine』のインタビューでこう述べている。
「まだ今より映画をゆっくりと作っていた時代に手に入れたものです。醜い内装やひどく居心地の悪い家具が置かれた普通のトレーラーで過ごすことが多かったので、自分の要望に合わせて内装を作った新品のエアストリームのシェルを買うことにしました。キッチンとバスルーム以外に備え付けのものは欲しくなかったので、後部には机と食器棚、床には“フトン”が敷かれ、小さなテーブルと椅子を置くスペースがあるだけでした。普通のソファも欲しかったので、ドアを通れるように脚が外せるものを作ってもらいました」





エアストリームのトレーラーは、創業者ウォーリー・バイアムの想像力と放浪癖から生まれた。ウィリアム・ホーリー・ボウラスが設計したロード・チーフを参考にして、1935年にエアストリームを設立。ボウラスは、チャールズ・リンドバーグが大西洋を初の単独横断したライアン・アビエーション社の「スピリット・オブ・セントルイス」を手がけた航空技術者である。バイアムは同じ方法で初代エアストリームを製作した。30年代半ばの時点で約1200ドルという価格にもかかわらず、この飛行機は熱狂的に受け入れられ、第二次世界大戦が始まるまで生産が続けられ、バイアムたちはカーチス・ライト社やロッキード社で生産に乗り出した。戦後、バイアムはカーティス・ライト社のトラベルトレーラー「クリッパー」を製作し、その後、エアストリームとして独立生産を再開した。

エアストリームは、ハンクスの憩いの場であるだけでなく、友人、同僚、キャストが集まり、忙しい一日の疲れを癒したり、考えやアイデアを交換したりする場所としても使われていた。この車は、『めぐり逢えたら』のシアトルから、『フォレスト・ガンプ/一期一会』のサウスカロライナ州ボーフォート、フィラデルフィア、『ハドソン川の奇跡』のニューヨーク、そしてロサンゼルス地域を何度も訪れている。



ヒッチからテールまでの長さは35フィート1インチ(約10.7m)で、食器、グラス、エスプレッソメーカー数台、キッチン用品、写真にある座り心地の良いチーク材の椅子とテーブルなど、すべての付属品と家具が揃っているだけでなく、電動レベリングジャッキ、ロールアップ式パティオオーニング、プロパンガスタンク、ホンダES 6500 120/240 ボルトの発電機も装備されている。標準的なエアストリーム34リミテッドのクラシックな装備とエクセラ1000パッケージには、エアコン、温水器、ウィンドウブラインドなども含まれる。





エアストリームの仕様書に記載の乾燥重量は7300ポンドで、1600ポンドの追加容量、合計8900ポンド(約4000kg)。常にプロの手でメンテナンスされ、使用しないときは屋内に保管されていた。また、エアコンの1台にはトム・ハンクスのサイン入り。落札推定価格(ガイドプライス)は15万ドル~25万ドル(約1650万~2750万円)だ。




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オクタン日本版編集部

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