ちょっと意外!?ハンガリーは趣味の車の宝庫かもしれない

Photography: Tomonari SAKURAI

6月の話になるが、ハンガリーを訪れた。今年初のハンガリー行きだった。通常なら年に数回は行くのだが、コロナのせいで行き来が制限されていたからだ。ようやく久しぶりに飛行機に乗って移動をした。諸々の仕事をこなし、以前も紹介したタマス氏のコレクションルームを訪れた。

最初に案内されたのは横っ腹をこすられてボディの修復に入っているロータスエスプリ。塗装を剥がしていくと何度か修理された痕跡が見つかる。エスプリはFRPボディ。パテや、樹脂などを使って成型していく作業を行っていた。ところが以前の修復をしたガレージが手抜き作業により、本来外すことができるボディパネルを外さずに修理したようで、そのパネルが外れず固定されてしまっていた。そこで、それを外さないで作業を続けるようにしたとのこと。エスプリは007では海中を潜って使用されたボンドカーであるが、FRPボディの修復方法はまさに車というよりもボートのようだという。ミッションにはシトロエンSMの5速を使用している。サイドミラーもシトロエン製だとシトロエンのタマス氏は誇らしげにそれを見せてくれた。

ロータスエスプリSE。

エスプリのドアパネルを外した後。FRPであるのが分かりやすい。


以前の手抜き工事のおかげでパネルを外すことができず、ボディに取り付けたままの作業中。


フルレストア中の車はタマス氏一押しの一台、ダンゲルだ。前回、昨年の11月にも登場したダンゲルはここまでレストアが進んでいた。ゆっくりと、ね。今まさに作業中のガレージにはテスタロッサにDS、ランチアデルタ、そしてトライアンフTR6があった。タマス氏のガレージでは、幅広く何でも直せるということがよく分かる。

ボディの板金がすんで、エンジンを載せた状態のプジョー505ベースのダンゲル4X4。

しかし、小さな国ハンガリーは決して豊かな国ではないが、よくぞ次から次へと趣味の車が集まってくるものだ。ランチアデルタは、ボディワークもエンジンのリビルドも完了し組み込み作業が行われている。TR6はほぼ作業が終わり細かいところの作業中。もう一台ボルボも忘れてはいけない。ボルボ初の高級車参入となったモデル164。ボルボは強健なボディで有名だが作業をしていて、ボディの作りからもその強さがよく分かったとタマス氏は話す。

この部屋は今まさに作業が行われている車達がいる場所だ。あらゆる車を完璧にこなすタマス氏のガレージならではの光景。

整備が終わりボディに組み込まれるのを待つランチアデルタのパワーユニット。


ハンガリーのミュージアムの認定パネルが取り付けられたボルボ164。

これだけ見てきたところで、お次はシトロエンDSだ。このDSはここでフルレストアを施した車体。それ以来かなりの距離も乗っているため、オイルのにじみなどが出てきたとのことで今回は点検整備ということで入庫中だ。タマス氏が注目したのはドアの取り付け部分。ドアがきちんと隙間なく閉まるようにヒンジの位置を微調整できる仕組みとなっている。そういったコストがかかることをしてまでエレガントさを保とうとしているのがフランス車、シトロエンDSが高級車である証だというわけだ。ハイドロなど当時の最新技術がつまっていて、エアコンもないのにエンジンルームはぎっしり。まあその分整備も大変は大変なようだが、それによってDSの魅力的な走りが実現されているというわけだ。

シトロエンDSのぎゅうぎゅうのエンジンルームを横から覗く。


さて今回はこの辺にして、次回はハンガリーならではのとても珍しい旧車を紹介したいと思う。どうぞお楽しみに。

ここに載せきれなかった写真は画像ギャラリー(写真15点)に掲載している。

写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI

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