メルセデス・ベンツ 500 SLが4台ずらりと並ぶわけとは?

Photography:Massimo Delbò

子供の面倒を見て、家を修復し、引っ越しを終え、やっと私の500SLを点検する時間ができた。ここ数年、この車に時々乗っていたが、最低限の点検のみおこなってきた。2020年はCOVID-19禍によってイタリアがロックダウンされたため、冬に予定されていた仕事がキャンセルとなった。そのため、クリスマス前に、ミラノにあるメルセデス・ベンツのスペシャリスト、ヴィエーフに車を持ち込み、2021年に乗れるよう点検を依頼した。



ヴィエーフ社には、私の古い友人であり、偉大なエンジニアであるファビオ・ヴェリンがいる。彼は、1901年のヴェテランカーを含む、様々な年代のクラシックカーの部品を加工するだけでなく、1世紀前のヨットに搭載されたエンジンのチューニングも手掛け、さらに1960年製のフォーミュラカーでイタリア国内のクラシックカー選手権を制覇した経験も持つ男だ。

1991年には、私自身の240TDに錆びが大量に混入した軽油を入れてしまうというミスをしでかしたあと、インジェクション系を修理してくれ、2017年のロンドン・ブライトン・ラン・ヴェテランカー・ランでは、故障した車を夜中の2時まで修理しくれたのもファビオだった。

ファビオはクラシックカー好きであるため、公式ディーラーにもかかわらず、工場内では最新モデルだけでなく、クラシックカーを目にすることがある。私が訪れた日にも、私の車と同じR107型500SLが他に4台も整備を受けていた。

ファビオ・ヴェリンが作業中。

不思議なことに、この4台とも同じ問題が発見された。フロントエンドからのノイズ、不安定なハンドリング、かかりにくいエンジン、劣化した計器盤だ。計器盤はパネルライトのレオスタットが錆びたことが原因のようだ。これに加えて、エアコンが作動しない、オドメーターが故障する、ホーンが断続的に鳴る、などの修理を依頼した。

入庫してから数日後、整備工場から破損したフロントサスペンションとステアリングのブッシュ、ひび割れしたゴム製のエンジンマウント、分解されたオドメーターの写真が届いた。

新しいブッシュが必要だった。

サスペンションは再び静かになった。


再び整備工場に足を運ぶと、エンジンマウントが交換されていた。私の500SLのエンジンは特注フレームで吊るされ、新しいゴム製の部品が取り付けられていた。古い部品を目の当たりにして、いかに劣化が進んでいるかを実感し、低速走行中でもブレーキや段差のたびに「キュッキュッ」とうるさい音を立てていた理由がやっと判明した。

新しいマウントを取り付けている間、作業用に特製したフレームでエンジンを吊り下げている。

分解されたオドメーターを手にしながら、メーターが壊れていた間に走った600kmほどの不足分を足すべきか悩んだが、すでに20万kmも走っているので、足す必要はないと判断した。ホーンの問題は、実際には二つあるようだ。ステアリング・ホイール・センターの下にある接点の不良が原因のようだが、これはまだ確認できていない。エアコンのコンプレッサーについては、冷媒が漏れているので、おそらく交換しなければならない。高価な部品なので、できれば隣に並んでいた同じR107型500SLのものをいただきたい(いや、これは冗談)、リビルド品にしたいと思う。

ステアリングホイールの接点部分の不良がホーンの故障の原因だった。


編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:オクタン日本版編集部 Words: Massimo Delbò

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:オクタン日本版編集部 Words: Massimo Delbò

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