イベントまでに間に合うか!?ジャガー XJ 5.3クーペのレストア計画

Harry Metcalfe

精神を集中させることに期限などない。今回の計画は、私のマニュアルシフト仕様の1978年 ジャガー XJ 5.3クーペを再塗装によってフレッシュして、6月8日に開催されるロンドン・コンクールに展示するための準備をすることだ。塗装業者へこの車が持ち込まれた1月の時点では、十分に余裕があると思われた。そして『Octane』(UK版)214号でもレストア計画を掲載した。だが、この記事を書いている時点では、コンクールまで15日しか残されていない。私はまだまだ完成までには程遠いと、心配で仕方がないのだが、職人のキース・ペリントンは大丈夫だと確信している様子だ。このコラムを読んでいただいている時には、私か彼か、どちらが正しかったかわかるだろう。コンクールまで約2週間の時点で、まだこの状態であったという現状報告をしておきたい。

古い車をレストアすると、驚くべきことにしばしば遭遇する。労働争議によるストとサボタージュが絶えなかった悪しきBL(ブリティッシュ・レイランド)時代に造られた、70年代のジャガーをレストアするなら、特にそう言える。まずは、エンジンが降ろした時のことだ。フライホイールがボルト付けされたクランクシャフトの裏側に、救いようのないほどオイルが漏れをおこしているメインオイルシールを見つけた。それはつまり、クランクをエンジンブロックから外す必要がある、ということだった。それにより、当初はまったく計画していなかったが、エンジンを完全に分解修理することを余儀なくされた。

次に、ボディーワークをむき出しの鋼板(より正確にいうと酸化第一鉄:FeO)にまで削ぎ落とした時には、見た目には良好に思えた車体構造が期待していたほどではないと分かった。前後のサスペンション・マウント、インナーとアウターのシル、ジャッキアップ・ポイント部分など、重要な部分はすべてやり直しが必要だった。こういう点で、私は、ペインティング・クラシック・カーズ社の、キース・ペリントンの経験と技術に非常に感謝している。ボディーワークで別の問題が前ぶれなく出てきても、彼ならいちいち動揺せずに対応ができるからだ。

当初の予想より大幅に修理が必要となったジャガーXJ 5.3クーペ。ボディはこのような状態。

これは、このエレガントな外側のボディーワークの、多くの箇所を交換するという見解の前の状況だ。どうしても対応が必要だし、本物のプロに任せるしかないことも分かっていた。なぜなら、多くのパネルはもはやジャガー社からは入手不可能で、熟練の技術者に造ってもらう必要があったからだ。平らな鉄板を見ていると、その後の姿が魔法の様に思える。まず必要なサイズにカットされ、熟練工がイングリッシュ・ホイールと名付けられた独特の板金用工具で曲げ、形づくっていく。



その一方でオールアルミニウム製エンジンは、トム・レントール社(tomlenthall.co.uk)へ送られていた。そこで、漏れたオイルにまみれた私のV12エンジンは、これらの写真の後のたったの6週間で、コンクール出場に相応しい、光り輝くパワーソースに生まれ変わったのだ。私はまた、ジャガーV12エンジンのリビルド費用についても、歓喜しつつ驚いた。というのも、同様のランボルギーニV12エンジンのリビルド費用の、ほぼ3分の1の金額だったからだ。通常なら、トムにエンジンのフルリビルドを依頼すると、費用は1万ポンドと付加価値税(VAT)程度だ。同じことを考えているなら、その他諸費用も含めて、1万2000〜1万5000ポンドと見込んでおけばよいだろう。

エンジンも完全なオーバーホールが必要だった。

さて、私のXJ 5.3クーペは、シックなグリーンにペイントされて、6月8日の初お目見えまでに準備が整ったのだろうか?続報は追ってお届けできればと思う。


編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:オクタン日本版編集部 Words: Harry Metcalfe

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:オクタン日本版編集部 Words: Harry Metcalfe

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