イギリスで愛情を注がれる「Japanese Kei-car」|ホンダZ600のメンテナンス事情

Richard Heseltine

2020年、私は、友人であり共同オーナーでもあるクリス・リースと、ホンダZ600で旅することを心待ちにしていた。オランダで開催されるイベントに参加し、このオレンジ色の“Kei-car”を彼と存分に楽しむつもりだった、だが、コロナ禍の影響により中止となってしまった。

2019年にはクリスはホンダZ600に乗ってよく遠出をしていたが、その年の冬以降は乗る機会がほとんどなくなってしまった。そして、7月にイギリス・ダチェットで開催されたHonda eの発表会で、ホンダからヘリテージ・コレクションが保管されているブラックネルでZ600を整備しないかと誘われた。そこの整備工場では、ホンダの優秀なメカニックが働いているというのだ。

最新のHonda eが置かれているホンダのブラックネル本社に持ち込まれたZ600。

Z600をワークショプに預けて間もなく、ブレーキの効きに問題があることがわかった。驚くべきことに、Z600のパーツの多くはまだ市販されており、新しいリアブレーキシリンダーとパッドはアメリカから調達することができた。



さらに、エンジンのオイル漏れに関しては、幸いなことにガスケットの交換は必要なく、シーラントを塗るだけに終わった。燃料フィルターは汚れていたため、新しいものに交換された。このZ600はシチリアで走っていた履歴があるが、錆びはほとんど見当たらなかった。だが、今後のことを考えて、ホンダのジョン・ホワイトとジェイソン・ライダーは念のため、下回り、ホイールアーチ、フロントのスタビライザーに防腐用のコーティングを施してくれた。



さらにバッテリーを交換し、バッテリートレイにマウントブラケットを付けてくれた。こうして、車は私たちの手元に戻ってきたものの、まだ問題が残っていた部分もある。そのひとつが、エグゾーストに開いてしまった穴だ。Z600は決して静かな車ではないのだが、今のチェーンソーのような音はしない。113.50ドルの防音用の部品をアメリカから調達したが、それ以外のパーツは新たに製作しなければならない。ここまでに費やした整備費は高額になったが、今後、数カ月間で頻繁に乗ることになるので、早急な対処が必要だ。



私達はこのZ600をグッドウッドで開催される『Retro Rides Weekender』に出展する。そして、DTRヨーロピアン・スポーツカーから回収したあと、モレッティ・スポルティーヴァとともに私のガレージに保管する予定だ。

ちなみに、ホンダZの日本でのニックネームは「水中メガネ」。リアウインドウを囲む黒くて太いハッチ部分がガンメタのABS樹脂で出来ており、それが潜水用ゴーグルに似ていたため付けられた愛称である。


まとめ:オクタン日本版編集部 文・写真:Richard Heseltine

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