これまでに見たことのないロールス・ロイス|コーチビルドによる「ボート・テイル」

ROLLS-ROYCE


創造物に魂を移入する


コーチビルドでの手作業の技術は、デザインの際の新たな可能性をも呼び起こした。あらかじめ手書きでデザイン案を描いたのち、粘土で実物大の彫刻としてかたちづくり、広い範囲にわたり表面を手で触ってフォルムを完成させることで全体像が見えてくる。依頼者も、このプロセスを通じてコラボレーションに関わっているのだ。





ロールス・ロイスは最先端の製造技術にコーチビルドの芸術的な手法を採り入れている。つまり、このクレイ・モデル(粘土の彫刻)をデジタルでリマスターし、そこから雄型を作り、その上にアルミ板を載せ、ハンマーを使って手作業で成形するといった具合だ。古くから受け継がれてきた人の手による技術や工芸の技法を駆使しながら、アルミニウムのボディに磨きをかけ、調整を繰り返すことで、機械だけでは実現できない面構成とラインの連続性を生み出している。





このプロセスはヨットの建造と同種のもので、創造物に魂を移入するプロセスだといえるだろう。時間に追われることなく延々と繰り返される手作業での研磨により、広大な金属の板が、ゆっくりと「ボート・テイル」の彫刻的な作品に変わっていく。こうしてパネルの切れ目がなく、ドラマチックな湾曲面を持ち、無限に続く巨大な一枚岩のような1つのサーフェスでかたちづくられた、純粋なフォルムが生み出された。

オクタン日本版編集部

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