映画に登場した名車17選【後編】|どうやって運転しているの!?と目を疑う車も…

Archive: Giles Chapman

(この記事は「プレイガールよりも車に注目!映画に登場した名車17選【前編】」の続きです)

前編では、銀幕を飾った8台の車、マセラティ3500GTやフィアット124スパイダーを紹介した。さっそく続きを見ていこう。

◆ イソ グリフォ ◆
『マホガニー物語〈原題:Mahogany〉(1975年 米国)』

ディスコ・クイーンで有名なダイアナ・ロスと、映画『サイコ』の主演で有名な俳優アンソニー・パーキンスという風変わりな組み合わせ。さらに、“イソ グリフォ”が登場し、挙句の果てに大破してしまう驚きの展開。監督はモータウンの創業者ベリー・ゴーディ。ファッション学校の学生が栄光をつかむ成功物語だ。

作品への車両提供はフィアット社とクレジットされているものの...イタリア・トリノの自動車メーカーは、自社製の車よりも、シボレー製エンジンを搭載したマッスル系の1台を生贄に選んだのだろうか?


◆ フォード カプリ Mk1 ◆
『サイコマニア〈原題:Psychomania〉(1973年 英国)』

バイカー映画とオカルト映画の要素をあわせもつカルト・クラシック作品。「リビング・デッド」と名乗るバイク乗りのギャング達は、母親から聞いた黒魔術の秘法に傾倒するリーダーの元に、カプリやトランジットに乗る英国人たちを恐怖におとしいれ...。作品内に登場するモーターサイクルは、BSA、AJS、マチレスなど。

なお、俳優ジョージ・サンダースは、スペインのマドリッドで本作の試写を鑑賞した後に自殺を遂げ、本作が遺作となった。


◆ MGローバー XパワーSV ◆
『RUN(第57回カンヌ国際映画祭)』

どんなに検索をしても、この映画作品ばかりは見つからないだろう。写真は、2004年に開催されたカンヌ国際映画祭で撮影されたスチールだ。会場では、路上レース映画『RUN』の製作予定が発表された。時速175マイル(約281.6km)のMGローバー車、俳優のリック・ユーンとサイモン・ウェッブ、そして1000万ポンド(約15億円)の予算...。

しかし、残念ながら製作は発表後1年以内に中止されてしまった。


さらに、日本語未公開の映画作品にも、車好きならではの注目シーンが満載だ。

◆ フォード・カスタム・セダン ◆
『Daddy-O(1959年 米国)』

名作とは言いがたいキッチュな作品の中、ズッシリ感あふれる“シューボックス・フォード”が宙を舞う。撮影には、大型トラック用のローディング・ランプ(荷物積載時に使われる傾斜板)が使用されたという。着地時のインパクトは、まるで隕石が落下したかのようだ。ちなみに、作品内のパトカーは“プリマス 1957 プラザ”。“トライアンフ TR3”や、“フォード・サンダーバード”も登場する。


◆ 1904 トニーフーバー ◆
『Waltz of the Toreadors(1962年 英国)』

映画作品から切り取られた場面ではなく、映画撮影用のセットを撮影したスチール写真。撮影は英国の配給会社ランク社のスチール写真撮影家、ジョージ・ワード氏だ。知る人ぞ知るフランス発のヴェテラン・カー(1905年以前に製造された車)は、「ブライトン・ラン(英国ロンドンとブライトン間で開催される、ヴェテランカーのみがエントリーできるイベント)」ではお馴染みの人気モデルだ。


◆ カーティス 500X ◆
『Roadracers(1959年 米国)』

欧州と米国のカーレーサーたちの華を紹介する作品。中でも注目を集めるのは、カーティスの2シーターだ。ホットロッド界でも有名な A.K.ミラーが、1957年ル・マンに向けて、アメリカの秘密兵器として究極の改造を施している。このクライスラー製レーシングカーのニックネームは“エル・カバロ II”。ヘミエンジンを搭載し、米国ユタ州ボンネビル・ソルトフラッツでは、ミラーの運転で最高時速176マイル(約283.2km)を叩き出している。


◆ ロータス マークII ◆
『Brothers in Law(1957年 英国)』

一見ポンコツに見えるこの車、実はロータス・カーズの設立者である、かのコーリン・チャップマンがビルドを手がけた2台目にあたるというから驚きだ。“オースチン・セブン”をベースとした、歴史的にも価値ある車両となっている。車に腰かけているのは、英国テレビ・ラジオ番組の人気司会者でもお馴染みの、俳優ニコラス・パーソンズ。


◆ ベントレー マークVI ◆
『Rikky and Pete(1988年 オーストラリア)』

母親が所有するマークVIのルーフにすわる主役ピート...。彼は車上で座禅を組んでいるわけではない。なんと、ステアリング・ホイールに取り付けたストラップを操って、運転しているのだ。

この奇想天外なロードムービーの舞台は、荒涼としたオーストラリア内陸部だ。冒険を求めて旅をする主役の兄妹は、英国の誉高いサルーン車の店でとんでもない運命に見舞われる。さらに、ピートが“ベントレー マークVI”をまっぷたつに切断する場面も...! 作品には“ミニ・モーク”も登場。一見の価値ある作品だ。


◆ アルファロメオ ジュリエッタ ◆
『The Young Racers(1963年 米国)』

ジム・クラークやブルース・マクラーレンなど、レース界のレジェンドたちの軌跡をもとにしたカーレース映画。ロジャー・コーマン監督。主演俳優のマーク・ダモンやウィリアム・キャンベルらが、“アルファロメオ ジュリエッタ・スパイダー”で激闘をくりひろげる。


【書籍情報】
前編でも紹介したとおり、これらの写真は書籍『CARS ON FILM』に収められたものだ。いわゆる“名画の中の名車集”とは一味違う、自動車専門のライター兼編集者を務めるガイルズ・チャップマン氏の個人コレクションから選りすぐられたレア資料が数多く収録されている。
CARS ON FILM A Celebration of Cars at the Movies
by Giles Chapman
ISBN 978 0 7509 9400 2

編集翻訳:フルパッケージ Words: James Elliott Archive: Giles Chapman

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