車に魅了された男|松田芳穂と「永遠のフェラーリ」

Gensho HAGA


 
今回の取材では、兼ねてより松田氏と親交があり御殿場にもゆかりのある日本人初のル・マン24時間優勝ドライバー、関谷正徳氏においでいただいた。フェラーリに限らず車の楽しさ全般について自由に話していただいたが、お二人が口をそろえるのは「良い時代を生きさせてもらった」である。活躍した場所は違っても、モータースポーツ黄金期を自らの目で見て、体感し、走り抜け、酸いも甘いも数々の思い出を車と共に歩んできたお二人である。

「この世に生を受けた時から車好き」という関谷氏に、現代のモータースポーツについて聞いてみた。「今の若いドライバーは、シミュレーターで訓練を受けているから、とても正確に操縦することができる。一方でレース中でも感情を表に出すことはほとんどなく、そのことさえも、ドライバーとしての素質基準にされているのだと思う」とどこか寂しげに話してくれた。 



かつてはドライバーこそがカリスマ的存在であり、一人一人にドラマがあった。マシンのサウンドがそこら中で鳴り響き、ガソリンの匂いが漂う。パドックでの緊張感や興奮といったら、我々には想像もつかない世界だ。レース前は"超" のつく興奮状態だが、ひとたびマシンを駆り出せば圧倒的な冷静さと集中力を要求される。目で見た状況を瞬時に脳に伝え、それをすぐさま身体に反映させる。たとえば関谷氏が優勝したときのル・マンの記録では、24時間の平均速度は168.992km/hだった。「モータースポーツは本当にスポーツ」という関谷氏の言葉は重みが違う。国内外の様々なサーキットで自らハンドルを握って走ってきた松田氏も、このリアルな武勇伝には圧倒されていた。
 
ランチを楽しんだ部屋は、約50年前に松田氏がオーディオルームとして使っていた空間。新しいシェフが装飾まで含めて凝ったアレンジをしてくれていることを松田氏は喜んでいた。関谷氏もこの館の以前の印象を思い出しながら相槌を打つ。
 
確かに「昔は良かった」こともたくさんある。一方で変化や進歩を心から期待することができるのも、時代を切り開いてきた人間だけが楽しめる特権ともいえる。これからの車文化には、今までとは、また違う期待を抱いているという松田氏と関谷氏。スポーツカーを、これからどのように発展させることができるのか。それをテーマに話は続く。やはり「車は一生やめられない」ことらしい。


文:オクタン日本版編集部 写真:芳賀元昌


松田芳穂氏の車人生「疾走」
松田氏が走り抜けてきた車との歴史を貴重な記録として残すため、オクタン日本版編集部が全面協力し自叙伝『疾走』を制作。大学時代のことから、日高のガレージ建設、ポルシェへの傾倒、スポーツカー博物館の建設、そしてフェラーリとの出会い、車以外のコレクションなど盛りだくさんのコンテンツを148ページにも及び網羅している。10ページにも渡る愛車歴を見ているだけでも、充分に楽しめるほどバラエティに富んだコレクションである。あれも?これも?と驚くに違いない。車を愛する人々へ向けたメッセージもご覧いただきたい。現在、部数限定で一冊 22,000円(税込)にて販売中。

販売の流れ
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文:オクタン日本版編集部 写真:芳賀元昌 Words:Octane Japan Photography:Gensho HAGA

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