北へ、南へ、シトロエン2CVと30年│ 第19回 ビートルとの対決、再び! その1

ちょっと古いイタフラ車を中心にした「都筑スマイルカフェミーティング(TSCM)」「アツギスマイルカフェミーティング(ASCM)」を主宰するサイトーさんとの付き合いはもう5年近くになるだろうか。お互いの家が車で10分程度と近いこともあって、最も頻繁に会うシトロエン仲間の一人である。シトロエン仲間と書いたが、サイトーさんとは実用的な足車として初代ルノーカングーを持っているという点でも共通している。

サイトーさんは1987年2CVと2002年カングー以外にも、1971年フィアット500、1964年VWビートル、1993年ローバーミニ、1973年ホンダZ(初代)と、欧州の4大有名大衆車+日本の変な軽自動車を所有している変わりモノ(?)であることは以前、この連載で書いた通り。 

だから、そんな仲良しで変わりモノのサイトーさんが、某ベストカーの人気連載で取り上げられたと聞いたときはと少なからずショックを受けた。「ああ、抜かれた〜」と新聞記者が他紙のスクープを見て発する台詞を思わず呟いてみた。

まあ、筆者の本業は編集者であって記者ではない。同じネタでも調理方法を変えれば別の料理になるじゃないか。編集記事だって同じだ。



ということで、今回は永遠のライバルである2CVとビートルはどちらが良いのか、その結論を出すべくサイトーさんのビートルと筆者の2CVの走り比べを行うことにした。これはまた、以前から筆者が問題視している「日本では2CVのことをビートルだと思っている人が一定数いる」件について、ことあるごとに2CVの存在をビートルに被せてアピールすることで解決を図る、という隠れテーマも包含している。そんな斬新な切り口の記事なので、某誌の人気連載とは全く別物であるということはおわかりいただけるであろう。



いつものように第三京浜の都筑PAで落ち合い、何はともあれサイトーさんのビートルに乗せてもらった。サイトーさんの水色の1964年ビートルは、ラグトップ付きのカリフォルニア仕様。太いマフラーと組み合わされたエンジンは1600ccにスープアップされている。

床から生えたブレーキペダルとクラッチペダルには慣れが必要だが、ギアはオリジナルの1200cc仕様のママなのでローギヤードだし、トルク感豊かなエンジンのおかげで発進に気を使う必要はない。ギア比のこともあって高速道路で巡航するのは2CVと同じく90km/hくらいがちょうどいい。



5年前に比較したオクタン日本版の当時の社用車だった1976年ビートルはステアリングセンターの遊びが大きく、60km/hを超えると直進性が少々怪しくなったが、サイトーさんのビートルはそこまでではない。でも直進性に関してはFFの2CVがはるかに高いことを改めて認識する。ただし取材当日は横風が強く、そんな状況ではどちらも同じようにステアリング操作に気を使う。軽量で細いタイヤを履いた車の宿命だろう。

文・写真:馬弓良輔 Words & Photography: Yoshisuke MAYUMI

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