戦前の英国で購入できた最もエキサイティングな車のうちの1台!

この記事は『「重い障害に打ち勝ちながら校長先生が生涯愛用した車」』の続きです。

現在、この登録番号BYG7は、83年前にロンドンの西、テムズ川沿いの町、ステインズにあったラゴンダ・ファクトリーを出た時のコンディションに戻されている。ベージュのレザー内装に、ベルコアイボリーの外装の組み合わせというエレガントな外観は、この頃のラゴンダが目指した典型的な雰囲気を表している。古代ローマ風といわれる縦長のラジエターグリル、古代ローマ軍の兜のようなカットのリアフェンダー、ポートサイドの2本のフレキシブル・エグゾーストパイプカバーは、同時代のメルセデスやホルヒを彷彿させるいささか大仰なものでクロームメッキが輝く。このような大陸的な派手さは、当時、各社のコンセプトカーには盛んに盛り込まれたものの、そのまま市販されることは希だった。

 
ブーツリッド中央に備わる国際識別記号"GB"は、ヒュー・ディクソン・カーがノルウェーに旅した際に付けたものを模している。この北欧ツアーへは、「最も辺鄙な村」として南のランズエンドと並んで冒険旅行の出発点または到着点として名高い、スコットランド最北端のジョン・オ・グローツから船出している。この地まで、ヒューはモーターウェイが時代に、ベッドフォードの自宅から1日で到着したというから、その速度と運転の様子がわかる。
 
ハンドスロットルレバーは永年にわたる使用で鈍く光っている。チェンジレバーは、ドライバーの右側床から生えているので、物の分かった人なら助手席側から運転席に乗り込むだろう。実際、ヒュー・ディクソン・カーは右足に障害を抱えるため、常に助手席側から乗り込んでいたので、使うことのなかった運転席側の室内ドアハンドルを取り去ってしまったほどだが、現在では、元に戻されている。



運転席に収まって目に入るのは、スミス製ブラックフェイス・メーター類が並ぶ、英国車の定石に沿った光沢のある木製のダッシュパネルだ。110mphまで刻まれた速度計、4000rpmからレッドゾーンの表示がある5000rpmまでのレヴカウンター、そしてダッシュ左には、空燃比調整のためのツイストノブが追加されている。マグネトーをオンにし、点火時期を遅らせたうえでスターターボタンを押すと、大型の直列6気筒は突如として目覚める。アイドルは絞り出すようなゴボゴボ音だ。

編集翻訳:小石原耕作(Ursus Page Makers) Transcreation:Kosaku KOISHIHARA (Ursus Page Makers) Words:Mark Dixson Photography:Jordan Bulters

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