サーキットも走れる真のグランドツーリング!「他と違う」エアロ3とは

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おそらくマテル社の弁護士はすでにトゥーリングエアロ3をモデルカー化するためのライセンスを申請しているだろう。メタリックレッドの塗装や特徴的なリアのフィン、サイドのレーシングナンバーなどはまさに大人向けのホットウィールともいえる。



ディスコ・ヴォランテやシャーディペルシアなどの過去の作品を通して、トゥーリング社は21世紀のルネサンスともいえるコーチビルダーとしての地位を確立してきた。そして最近、デザイナーのルイス・デ・ファブリベッカーズは今までで最も過激な作品を発表した。明らかに1938年のル・マンで活躍したアルファロメオ8C 2900 ストリームライナーをオマージュにしており、サロン・プリヴェ・コンクール・デレガンスでのルイスの言葉を借りれば、エアロ3は究極的なパフォーマンスではなくエアロダイナミクスとスピードの理想を追い求めて生まれた車であることがうかがえる。とはいえ、エアロ3のスペックが低いかといえばまったくもってそんなことはない。トゥーリング社は特に最近のモデルに関してはプラットフォームも慎重に選んでいる。

実際、エアロ3のベースモデルとなったのはフェラーリF12ベルリネッタなのだ。したがってフェラーリマークは付いてないもののフロントには6.3リッターのV12エンジンが搭載されており、最高時速は約340km、0-100km/h加速は3.2秒という性能を誇る。カスタマーは自分のF12ベルリネッタをベース車として提供するか、すべてトゥーリング社に任せるという2つの選択肢がある。そのため価格は仕様次第ということになる。しかし既に15台の限定生産のうち3台は売れているそうだ。



この3台のうち最初に製造された車はオックスフォードシャーのブレナム宮殿の緑豊かな芝生から、サロン・プリヴェの最後までオクタンによって運転されたモデルだ。車体の金属、革、カーボンファイバーなど、すべてにおいて完璧なところから、エアロ3はトゥーリング社にとって新たな出発点であルことがうかがえる。クラシカルなリアフィンは後付け感があるかもしれないが、この車を印象付ける特徴でもあり実際に見ると写真よりも美しく見える。ちなみにこの19というレース番号は、アルファロメオが1938年にル・マンにエントリーしたことに由来している。

サイドを見るとフロントホイールアーチからの流れるようなダクトが特徴的だ。また内装を見ると、センターコンソールによってパッセンジャーシートとドライバーズシートがきちんと仕切られており、ベースのF12ベルリネッタよりもレーシングカーの雰囲気が増している。インテリアの素材にはアルカンターラやカーボンファイバー、レザーなどが使用されているが、どの部分をなんの素材にするかはカスタマーが自由に選ぶことができる。バケットシートも一見硬く見えるが、パッドが入っており驚くほど快適だ。ハーネスベルトやシートの後ろに収納されたボディーカラーと同じ色のヘルメットのおかげで、サーキットを楽しむのにも最適のマシンだ。もちろん普通のシートベルトも装備されているため、ロードカーとしてエアロ3を楽しむこともできる。



F12ベルリネッタと同様にコントロールしやすく、エグゾーストノートが近所迷惑になるほどうるさくもない。730bhpを発揮するV12エンジンは非常に魅力的で、8000回転を超えると官能的なサウンドに酔いしれることができる。またステアリングはクイックで、ブレーキもよく効くが、乗り心地は悪くなく程よい硬さでコントロールされている。ひと昔前のスーパーカーとは違い、リアビューも優れている。



ただし、バックミラーはカメラを利用したデジタル式であるため、適切な角度に合わせるのに少し手間取るかもしれない。細かいところもこだわりが垣間見える。ツインフィラーのキャップがバッテリーをトリクルチャージするための電気ソケットをうまく隠している。さらに時速約80kmを超えるとリアのエアロフォイルが自動的に展開する。角度を調整することはできないが、どのくらいの角度になっているかは目盛りを見れば確認できるようになっている。



また、この車の最大の特徴ともいえるリアフィンが装着されているテールゲートだが、希望すれば従来のようなガラスのテールゲートに変更することも可能だ。実際にその仕様にする人はいたとしても限りなく少ないと思われるが…

人と違う見た目にする”ということこそが、Aero3のオーナーにとっての“ゲーム”であり、この車はそのゲームを楽しむにはぴったりといえるだろう。


オクタン日本版編集部

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