人の興味をかき立てる!ユニークにチューンアップされたミニ2台

Photography:Jayson Fong


 
バーネットは、いささか困惑気味にこう説明してくれた。「正直なところ、詳しいことが分からなくて困っています。私に分かっているのは、ある裕福な人物がカントリーマンを競技で使いたがっていたということだけ。純粋に楽しみのためだったのでしょう。どこを見ても、国際レースなどへの出走を示す証拠は見つからなかったですね。けれど、850ccエンジンとドラムブレーキでホモロゲーションが取得されたのは確かです。それが当時の標準装備でしたから」

バーネットも認めるように、このスペックでは、フルレース仕様の1293ccクーパーSがひしめくグッドウッドで頭角を現すのは難しい。だが少なくともプロジェクトの出発点にはなった。これを最初に思い付いたのは、カントリーマンの前オーナーだ。グッドウッドのモータースポーツ競技マネージャーのウィル・キンズマンである。


「 ウィルと兄弟のアレックスはレストアに乗り出したものの、それほど進まなかった。車がボロボロだったんだ。私がセトリントン・カップ用のJ40(子ども用ペダルカー)の購入を相談したら、アレックスがカントリーマンについての彼とウィルの構想を持ちかけてきた。プロジェクトが大きすぎて自分たちの手には負えないけれど、私なら興味があるのではないかとね。私は『なんてバカバカしいアイデアだ』と答えたよ。その2週間後には、彼らのワークショップに足を運んでいたけれどね…」


 
レストアは大がかりなものとなった。ルーフ、ボンネット、リアのドアと片方のサイドパネルは(何とか)再利用が可能だったが、たいへんな作業を要した。フロアとフェンダーは新品だ。意外にも、ウッドトリムは大半がオリジナルである。とはいえ、大工の腕を頼りにして造られたレーシングカーはこれだけだろうとバーネットは笑う。時間は限られていた。ミニ専用のレースがある2019年4月のグッドウッド・メンバーズミーティングに間に合わせるためだ。

「2018年9月末に車を見にいって、やってみようと決心した。自分でパーツを取り外してボディシェルにするまでには時間がかかり、ボディワークのレストアとロールケージの取り付けをエンダフ・エヴァンズに依頼したのは12月だった。私たちは厳しい日程を組んだ。彼は間に合わせるために、クリスマスも休まずに作業してくれたんだと思う」
 
ボディシェルをレストアしてレース仕様にするのはおそろしくたいへんな作業だったが、機構面に関しては比較的単純だった。エンジンやギアボックス、ブレーキ、サスペンション、ホイール、タイヤなど、ほぼすべてのパーツは、クーパーSをFIA公認の一般的なレース仕様にする際に使うものが流用できたからだ。したがって嬉しいことに、ノーズには鼻息も荒い1293ccにパワーアップしたAシリーズエンジンを搭載する。ミニのチューナーとして有名なスイフチューンのニック・スイフトが手掛けたものだ。


偶然の産物だったクラブマン・エステート・・・次回へ続く

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Richard Meaden 

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