さて、これからどうするか?!「いつかは乗るぞ!」日本で眠っていたポルシェ356

Photography: Gensho Haga

バーン・ファインド(Barn Find)とは、納屋や倉庫などの奥深くに長く保管されていたものが新たに見つかり、再び陽の目を見ることを意味する。放置されただけの状態も稀にあるが、一般的には風雨にあまりさらされず、人目につくことなくしまい込まれていた車のこと。そんなお宝が発見されると、まさにクラシックカーファンにとっては驚きと垂涎の対象になる。そんな車がまた一台ここに登場した。1960年ポルシェ356Bである。
 
この356について、詳しいヒストリーは現在のオーナーもよくわかっていないらしい。「古い車の専門店」(「ヴィンテージカーショップ」といったイメージとは程遠いようだ)のストックヤードに長く置いてあったものを、現オーナーが通りがかりに見つける。何度も見ているうちに何となく気になるようになり、「356を集めたい」という理由だけで購入してしまったという。そして、エンスージアストであるオーナーはほかの車のメンテナンスに時間を取られているうちに、いつの間にか20年も経ってしまった。と、まぁこんな感じである。状態から考えると普通の状態に戻すにはかなりたいへんな作業になりそうだ。


 
記録を確認すると、どうやら日本では一度も登録されていないようだ。アメリカからの中古並行らしいが、情報はほとんどない。でも嬉しいことにエンジンとボディのナンバーはマッチングしている。
 
356「B型」について、少々おさらいをしておこう。356B(社内呼称はT5)は、1959年のフランクフルトショーで発表された。クーペとカブリオレ、ロードスターのバリエーションが用意された。フロントマスクを見るだけでもわかる通り、ボディは各部がリファインされて356Aとの互換性は少ない。
 
まずバンパーが大型化されフロントにオーバーライダーが装着された。ヘッドライトを上昇させるためフロントフェンダーも上にあがり、ウインカー一体式であったグリルは別体になった。フロントウインドウのアングルも高くなり、三角窓が標準装備となった。ボンネットフードのエンブレム付きメッキハンドルは幅が広くなり厚いものに変更されている。
 
オリジナルのステアリングホイールはVDM製で黒い3本スポーク仕様。シフトレバーも太く短くなった。ラジアルタイヤや12V仕様がオプションで選択可能になったとされる。
 
356Bの総生産台数は記録上、3万1192台となっている。1.6リッターエンジンは90hp/5500rpm、12.3kgm/4,300rpmを発揮した。
 
ちなみにこの356はT6。オーナーはあえて外装はこの状態を維持しながら、エンジンやトランスミッションなどの機関系と制動系に完全なるメンテナンスを施して、抜群の走りを見せるクラシックポルシェを作り上げたいという悪戯心をもっているそうだ。


 
掛かる時間と費用は想像もつかないが、やがてこの356Bスーパーの元気な姿を、街で見かけることになるだろう。

オクタン編集部

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