シトロエンSMのためのトラックが盗まれた!その後のユニークな解決策とは?

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シトロエンの自動車技術の限界を押し上げるという魅力は、1960年代後半まで絶賛を集め続けたDSで見事に実現された。よりスポーティなモデルを求めて、シトロエンは1968年にマセラティを買収し、チーフデザイナーのロバート・オプロンは、マセラティのV6エンジンを搭載し、"SM"として知られる2ドアクーペの設計を任された。SMはその独創的なスタイリングで1972年のモータートレンドカーオブザイヤーを受賞したが、オイルショックなどの影響によりマセラティとの契約も終わり、1975年に生産が終了。

SMは今でも人気を集め続けている存在だが、オークションに出品されている"トリオ"が特に注目を浴びている。ジェリー・ハサウェイとシルビア・ハサウェイという人物の想いから誕生したものである。1972年、ディーラーがシトロエンをラインナップに追加したとき、ジェリーはロサンゼルスのIrv White Buickでアライメント技術者として働いていた。ジェリーは最終的に車に夢中になり、部品の購入を開始し、1976年にシトロエン工場がサポートするSM World Ltd.を設立した。それ以降、ハサウェイはアメリカでシトロエンSMの部品、修復、修理を行う場所として世界にも知られるようになった。



SM Worldのクライアントである経験豊富な陸上スピードレーサーのジョン・マッキベンは、SMは素晴らしい空力形状により、陸上スピード記録レースに理想的なプラットフォームになるだろうと述べた。その後まもなく、SMがレースカーにカスタムされた。 SMは信じられないほどのレストアが施され、完璧に準備されたスピードレーサーとなった。当初は48IDAウェバーキャブレターを備えた3.0リッターエンジンを搭載し、250hpを発揮した。その後、SMは2つのAiResearchターボチャージャーが備えられた。



悪天候による長年の逆境の後、ジェリーは1985年に200MPHクラブとなり、SM Worldマシンを世界最速のシトロエンとして確固たる地位を築いた。これは今でも保持されていると信じられている記録である。1987年のシーズン中、シルビアは時速202.3マイルの記録を残している。

しかし、1980年代のある時期に、レースカーを運ぶために使用していたハサウェイのトラックとトレーラーが盗まれた。ほとんどの人がトラックの代替品を購入するであろうが、ジェリーはシトロエンとの長年の協力を通じて学んだ教訓を利用して、ユニークな解決策を考え出した。別のSMを手に入れ、SMの牽引車としたのだ。トレーラーも彼らによってカスタムされている。トラックとトレーラーの両方が独立して高さ調節可能であり、レースカーの積み下ろしを簡単に行うことができるようになっている。何年にもわたって、ピックアップとトレーラーはレースカーに匹敵する多くの注目を集めてきた。



レースを引退してからは、2003年にパリで開催されたレトロモービル(レースカーのみ)や、ピーターセン・ミュージアムやピーター・マラン・ミュージアムなど、アメリカ国内のトップ美術館で展示されてきた。ピックアップとレースカーは走行可能な状態だが定期的に使用されておらず、使用する前には整備が必要になる可能性があるとのこと。出品の一部として、マセラティV6エンジンで作られたコーヒーテーブルと、シルビア・ハサウェイが使用したファイアースーツが含まれている。

落札する人はどのような目的でこのトリオを手にするのかということも不思議である。推定落札価格は10万~20万ドル(約1040万円~2080万円)となっている。

オクタン編集部

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