復活までの時間と愛情 長いこと忘れ去られていたランチア・プリズマ

写真: Ruote Leggendarie (Gaetano Florio)



この地域でプリズマが売りに出されるのを見たことがなかったので、良く確認する必要があった。1980年代、フィアットは数台のプリズマをオーストラリアに送り、現地市場でのホモロゲーションが可能かどうか試したが、非常に厳しい規制だったため、フィアットは代わりにレガータを選択したのだ。

そして、このプリズマはといえば驚いたことに、ある人がイギリスから輸入し、ほかの車と共に14年間小屋で保管していた、それもオリジナルコンディションで。イギリスにあった頃に錆ができ穴が開いていたが、素晴らしい歴史を持つ車だった。オーナーは1人、オリジナルの書類付き、走行距離は新車から4万3000マイル。あまりにもできすぎていると思い、さらに調査し、実際に出向いてよく見てみた。結局、この車を家に連れて帰ることを決めた。2018年に、フルボディレストアのため息子のワークショップに入れた。すべての錆を取り除き、可能な限りパーツを交換した。新品のパーツというのは手に入らないがebayを使って、イタリア、イギリスまたは地元で入手することができた。





そして、2年の時間とたくさんの費用を費やしてこのプリズマは復活した。次はメカニックのところで、新しいタイミングベルト、クラッチキット、ホース、プラグ、リード線など工場出荷時の状態に戻すために必要な各所がチェックされた。私はなんとか、デッドストックの純正スピードラインホイールとピレリタイヤの新しいセットを見つけることができた。



内装はかなり良い状態だったが、スチームクリーニングが必要だった。ランチアが使っているゼニア生地はかけがえのないものなので保護しなければならない。その出来映えは、ショールームから出てきたようといえば分かってもらえるだろう。見る人みんなを虜にする。ランチア・デルタを知っている人の多くは、80年代中頃にBMW、ボルボ、メルセデス、アウディ等と競うために導入されたこのセダンとの類似点に気づくはずだ。



右ハンドルはイギリスに片手で数えられるくらいの台数が残っている可能性がある。登録のデータベースによれば、南半球では恐らく1,2台で、エンスージアストにはたまらないレアで収集向きな一台だ。コロナウイルスの影響で、クラシックカーのショーやクラブミーティングで披露する機会は持てていないが、SNSや専用サイト、ローカルなミーティングを活用している。いつか車の愛好家たちと集まり、彼らにこの車を披露することができることができればと思っている。



文 : Ruote Leggendarie (Gaetano Florio), 訳 : 古川浩美 
写真: Ruote Leggendarie (Gaetano Florio)

文 : Ruote Leggendarie (Gaetano Florio), 訳 : 古川浩美  写真: Ruote Leggendarie (Gaetano Florio)

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