「何かが変?」ポルシェがプレゼント用に作った「パナメリカーナ・コンセプト」

Porsche AG

ポルシェの創業者フェルディナント・ポルシェ博士の長男であるフェリー・ポルシェ博士が80歳になったとき、彼は1989年のポルシェ・パナメリカーナ・コンセプトカーをプレゼントとして受け取った。誕生日プレゼントとして車を受け取ることは、彼のような立場の人にとってそれほど大きな出来事ではなかったが、この一台に関してはフェリー・ポルシェにとってもエキサイティングなプレゼントとなった。見た目がとてもユニークなのである。

1989年に誕生したこのポルシェ・パナメリカーナ・コンセプトカーは、ドイツのフランクフルトで開催された1989年のインターナショナル・モーターショーで初めて一般に公開された、印象的な2人乗りのコンセプトカーだった。ファンファーレなしで到着し、その場にいた人々の注目を一気に集めた。賞賛の声も多くあったそうだ。



ベースとなっているのは、964カブリオレである。パナメリカーナという名は、ご存知の方も多いであろう、1950年代のクラシック耐久レースにちなんで名付けられている。デザイナーのスティーブ・マーケットとハーム・ラガーイ(BMW Z1で有名)は、ホイールアーチを大きな特徴としてデザインした。彼らは、このコンセプトが生産された場合、さまざまな地形に対応できるようになると考えていた。そうして出来上がったこの一台は、ビーチバギーのようにも見える。

フェリー・ポルシェは、このワイルドなマシンを運転する機会があまりなかったかもしれない。また、生産の計画もなかった。それでも、ポルシェの未来志向の思考、創造性、技術力を提示するものであったことは間違いない。自由な精神と自由な発想から誕生したポルシェであり、伝統主義思想の制約から完全に解放されている。



当時ポルシェは、“このコンセプトカーが911の将来の可能性を示しているかもしれない”とも言っていた。このコンセプトを見たポルシェエンスージアストの多くは、"他のショーカーと同じようにただ消えていってほしくない"と強く思っていただろう。しかし、結局はショーの展示用とプレゼント用、計2台だけが製作されて終わってしまったのであった。

オクタン編集部

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