朽ち果てた姿になったファセル・ヴェガ FV3がオランダで売りに出されている。ファセル・ヴェガは聞きなれない名だが、今はなきフランスの高級自動車メーカーである。もともとは家具や工業製品を製造する会社として1939年に設立されたが、戦後はシムカやフォードなどのボディビルダーとしても活躍していた。
1954年からはファセル・ヴェガのブランド名を冠したモデルを製造しはじめる。優美で贅沢なスタイリングであるが、ヨーロッパ市場ではなくアメリカ市場をターゲットとしていたためにクライスラー製 V8エンジンを搭載し、充分なパワーも持つ車に仕上げられていた。HK500やファセルⅡにはクライスラー製エンジンが載せられ勢いのある高級車に、小ぶりなファセリアにはファセル製 4気筒エンジンを搭載し少し控えめに、といったすみ分けがされている。それ以降は社外エンジンを搭載しているが、1964年に倒産を迎える。
HK500
ファセルの魅力は他のメーカーでは見られない美しいスタイリングはもちろんだが、家具を手掛けていたからこそ持ち合わせていた技術で製作された見事な手描きの木目調ダッシュパネルも大きな要素であろう。パブロ・ピカソやリンゴ・スター、スターリング・モスというような著名人がファセルを愛車としていたことも有名なエピソードだ。現在、日本ではあまり見かけないが、海外のコンクール・デレガンスでは常連となっている。
そして現在、朽ち果てた姿で売りに出されているモデルは45台のみ製造されたFV3。現存はおよそ30台であるといわれている。見ての通り、フルレストアが必要になるが、それに充分値する。1957年4月9日にフランスの工場から出荷されたというヒストリーのみが公表されており、オーナー歴やいつから放置されているのかといった情報は分かっていない。なお、トランスミッションはATでオリジナルカラーはボディがブルー、インテリアがルージュだったとのこと。
価格は52,500ドルと決して安くはないが、価値ある車を蘇らせてみたいという想いがある人には最適な一台だろう。誰か、助けてあげてほしいと願うばかりだ。
オクタン日本版編集部
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