様々な進化を遂げた 注目のアウディ新型モデル2車種を同コースで試乗

e-tronスポーツバック55クワトロ1st エディション。車両本体価格は1346万円。

アウディジャパンは、10月最終週に静岡県御殿場にて、オールラインナップ試乗会を開催した。1リッター 3気筒を搭載したA1から、S8に至るほぼフルラインアップが用意された。目玉といえるのが、先ごろビックマイナーチェンジを果たして、12Vマイルドハイブリッドシステムを採用するとともに、エクステリアデザインを大幅に刷新したA4シリーズと、広報試乗車が用意されたばかりのA1 1リッター、および、最新型のA8とS8だ。

A4についてはじっくりと試乗して12Vマイルドハイブリッドシステムの真価を試す必要があると考えて、今回は見送った。なるべく早い時期に試乗する予定なので、ご期待いただきたい。その代わりに、フルラインナップ試乗会でもなければ試すことができない、乗り比べを実施することにした。BEV(Battery Electric Vehicle)のe-tronスポーツバック55クワトロと、ガソリンエンジン搭載のトップモデル・サルーンであるA8だ。

e-tronスポーツバック55クワトロについては、すでにメディアに試乗記が掲載されているので、ご存知のことと思うが、アウディのBEVとしては、これが日本初登場車となる。前・後軸に2基のモーターを搭載したクワトロ・システムを採用し、それらの統合出力は通常時に265kWと561Nmを発揮するが、ブーストモード時には300kWと664Nmにさらに高められる。プラットフォームはQ7/Q8に使われる“MLB evo”で、2930mmのWBもそれらと共通だが、BEV化に伴って、WB間のフロア下にリチウム・イオン・バッテリーを配置している。

e-tron55クワトロはまずスポーツバックから発売された。初年度は200台の販売を予定している。

ボンネットの中にはインバータなどが収まる。前方のハッチ内には充電のためのケーブルが納まっている。カタログでは1回の充電で400Km以上走行と謳っている。


走り出した瞬間の第一印象は、とにかく静粛だというひとことに尽きる。内燃機関を搭載していないBEVだから、静かなのは当然だろうと失笑されるだろうが、まず、聞いていただきたい。タイヤノイズやロードノイズが極めて少ないのである。EVに乗ると、動力源からのノイズが激減した代わりに、予想外にタイヤの回転によって発生されるトレッドノイズや小石や雨水がインナーフェンダーに当たる音が耳につくものである。

水平基調のダッシュボードの中央に、2個のMMIタッチレスポンスのディスプレイが上下に配置される。

それが、このe-tronスポーツバック55クワトロでは、さまざまな路面状況を選んで走ってみたが、見事に遮断され、僅かに伝わってくるモーターの息吹だけが、聞こえるという感動すべきできばえであった。遮音については車体自体に入念な対策が講じられているのは容易に想像できるが、床下に敷き詰められるように置かれたバッテリーもロードノイズの遮断に貢献していることは明らかだ。さらに、静粛性に注力して設計されたというタイヤが貢献していることも明らかだ。タイヤの銘柄は、コンチネンタル・プレミアムコンタクト6もしくは、グッドイヤー・イーグル・アシンメトリック3のどちらかが装着されてくるといい、試乗車はグッドイヤーであった。

リチウムイオンバッテリーはこのようにWB間の床下に収納され、前・後軸にモーターを備えている。プラットフォームはBEV専用開発ではなく、Q7/Q8をベースにした派生型。

外部のCCDカメラで撮影された画像はこのように表示される。極めて鮮明で、まったく違和感を覚えなかった。


起動時(回転し始める瞬間)に最大トルクを発揮する電気モーターの特性ゆえに、2560kgの車両重量を感じさせないほど、身軽に、かつ静粛を保ったまま強大なトルクにものをいわせて、素早く発進し、加速していく。回生ブレーキは効き具合をオートマチックだけでなく、パドルによって手動で変化させることが可能であり、減速時にブレーキペダルに踏み換えることなく、アクセルペダルだけのワンペダル・ドライビングができる。限られた時間であったので、ワインディングを攻めたり、高速道路をクルーズするなどの場面はなかったが、山道では思いのほかスポーティーであり、空いたバイパスではクルーザーとして快適であることがわかった。


オクタン日本版編集部

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