Mission Completed ! インディ500で2勝目の快挙を遂げた佐藤琢磨の「走る理由」と原点

Photography:Kazuki SAITO



「今年のインディ500のように、最後の30周に向けて何カ月も前から準備するのですが、1年前のデータ解析からひとつずつ積み上げていって、エンジニアやメカニックと一緒に車を作り上げていきます。最後にハンドルを握るのはドライバーですけど、チームとの共同作業によって、一番を獲るっていうのがコンペティションの真骨頂というか、それが僕のモチベーションであり、一番の魅力です。だからトップを走っている瞬間以外は、苦痛でしかないんですね」
 
今回のインタビューを締めくくるにあたり、最後に筆者は佐藤琢磨に「最新のテクノロジーで走る」ことについても聞いてみたいと思った。「大好きな車を自分で操ることが至福の瞬間」と語る佐藤の目に、電気自動車や自動運転はどのように映っているのだろう。



「とても興味ありますよ。意外ですか?(笑)地球環境のことを考えてこれからどんどん電気化していくだろうし、インフラが整えば水素エネルギーの燃料電池車など、次世代エネルギーの車が軸になっていくのかなと思います。公共の交通機関や物流を支えるトラックなどはメリットしかないし、環境に優しくて静かでいいですよね。僕だって車の運転に疲れるときはありますから、普段の街乗りの車としても、それはもうスイッチひとつで目的地に行けるのは案外うれしいです」

「とはいえ、そんな夢のような車ができたら、それまで以上に自分で運転することがフォーカスされるようになって、運転そのものが技術として、あらためて注目される時代になるんじゃないかと。実際、これだけテクノロジーが発展したって馬に乗って競技するポロとかが消えないのと同じように、モータースポーツも残るだろうし、機械を操って運転するっていうのは人間の夢ですから、永遠に残るはずです。もっともっと運転が楽しいものだって認識される時代になってくるんじゃないかと思います」

「地球の環境にどんどん優しくなっていき、暮らしがより豊かになって安全でっていう一方で、昔ながらの機械式の車が生き延びて共存できる世界、50年前の車もずっと走れるように、科学技術が進歩してくれたらうれしいですね」

文、写真:斉藤和記 Words & Photography:Kazuki SAITO

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