40年以上眠ったまま!結婚25周年記念のプレゼントだったジャガーがオークションに

RM Sotheby's

オンラインで開催されているオークションに注目の一台が出品されている。約40年間放置されていたというジャガー XK120 SEロードスターだが、その裏にはある家族とのストーリーがあった。

この車の魅力的なストーリーは、ファーストオーナーの息子 ジョンからの手紙に記録されている。最速のプロダクションモデルとしても高く評されたXK120だが、この一台は1954年6月にファクトリーから左ハンドル仕様で出荷され、ゴールデンステートに載せられカリフォルニア州オークランドに到着。ディーラーのブリティッシュ・モーターカーズでジョン・ハッチンズによって購入された。ハッチンズは、結婚25周年記念プレゼントとして車を購入したそうだ。ハッチンズ夫人は当初、車に注意を払って管理していたがすぐに慣れ、1970年代初頭までXK120を通勤に使用していた。夫人は助手席に乗ることも好きで、ハッチンズ氏が1964年にリタイアしてからは、妻をXK120で仕事場まで送り迎えしていたという。



息子 ジョンは、16歳のときに車の運転方法を学んだ。XK120は丘や渋滞でオーバーヒートする傾向があったと述べているが、それ以外の点では運転するのは非常に楽しかったと振り返っている。北カリフォルニアから遠くにでかけることはなく、最長でも150マイルの旅であったとのこと。

1972年にハッチンズ氏はこの世を去ったが、その後も夫人によってXK120は保管されていた。息子の近くに住むため引っ越す際も、彼女はこの車と共に移動した。しかし、走らせることはなくガレージに眠らせたままにだったのだ。彼女が車を走らせなかった明確な理由は分からないが、車との思い出がたくさんあった夫婦にはよく聞く話しがある。"車を見ると、先立った夫のことを思い出して寂しさが増すだけだから、走らせたくない"というものだ。見ることさえ拒む人は売りに出してしまうケースも多い。しかし、なかなか手放すことができないまま時が過ぎていくというパターンも多いのだ。



1980年にジョンが一度、走らせるためのレストアを試みたが生活の変化によって完成させることができなかった。しかし、ガレージにはずっと保管されていたため、ほぼ40年間は不動のまま。60年以上、シングルファミリーでの所有を経て、2017年にはオランダのディーラーに売却されたものの、手つかずのままで今回のオークションに出品されることになったのである。



もちろん経年劣化もそれなりに見られるが、ソフトトップ、スペアタイヤ、ツールキット、ハンマー、タイヤポンプ、ジャック、トップカバー、サイドウィンドウが付属している。走行距離はオリジナルマイルで44,000マイルを刻んでいる。



綺麗とはいえない見た目だが、推定落札額は£100,000 - £130,000(約1370万円~1780万円)となっている。この車を購入することは、ひとつの家族の思い出を継承していくことを意味するだろう。車そのものとしても価値があるため、美しくレストアされてまたかつてのように街を走り、思い出を刻んでいってもらいたいものだ。

オクタン日本版編集部

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