最後には悲しい結末が待ち受けていた│ジウジアーロが手掛けたポルシェ「タピロ」

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ポルシェといえば、356や911のイメージが強いであろうが、あまり知られていないコンセプトカーも存在する。そのうちのひとつが、この"タピロ"である。

革新的なデザインのポルシェ・タピロのコンセプトは、天才デザイナーとして知られるジョルジェット・ジウジアーロによって手掛けられた。このウェッジシェイプを見ただけで、イタルデザイン時代のジウジアーロの作品だと分かる方も多いのではないだろうか。ベルトーネのアルファロメオ・カラボに触発されているが、イタルデザインが最初に真の「ウェッジ」デザインとして認めたのは、このポルシェ・タピロだった。

ゴージャスなボディは、ポルシェ 914/6のシャシーを用いて製作された。その見た目だけでも十分なインパクトを持っているが、さらにガルウィングドアを備え、極めて圧倒的な存在感を放っていた。現代見ても宇宙船のように見えるのだから、発表された1970年には強い印象を観衆に与えたに違いない。



また、タピロは単なるモックアップではなく、2.4リッター水平対向6気筒エンジンを搭載し、そのパワーは223ps、152mphに達した。ギアボックスは5速MTを備えている。宇宙船のような見た目でしっかりと速さを兼ね備えていたのだ。

このコンセプトは、トリノの後、展示のためアメリカへ輸出され、その後はバルセロナ・モーターショーに展示された。こうして世界でお披露目されたタピロだったが、なんと燃え尽きるという悲しい結末を迎えることになった。その原因は不明だが、スペインで放火の標的にされたという説が残っている。

残骸となったタピロはジウジアーロが買い戻し、レストアする計画があったが最終的には失敗に終わる。現在の消息は不明だが、ポルシェの歴史の中でも興味深いものとして語り継がれている。

オクタン日本版編集部

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