「勝てるつもりはなかった」ポルシェ・ヒストリーの伝説に残るドライバーが語る

Porsche AG

リチャード・アトウッドは今から50年前の1970年、ル・マン24時間でハンス・ヘルマンとポルシェ 917Kを駆り、ポルシェに初勝利をもたらした。

アトウッドの両親はイギリスで自動車販売店を経営していた。そのため、自然と彼は幼少期から自動車やモータースポーツへの情熱を持っていたのだ。トライアンフやBRMでフォーミュラレースを中心に活躍していた彼は、1967年に初めてポルシェで参戦する。1967年のツェルトベク500kmにウィリアム・ブラッドリーとコンビでプライベートのポルシェ906カレラ6を操り、2位表彰台を獲得。そして1969年にはスポーツカー世界選手権でワークスチームの908/02のステアリングを握る約束を果たした。



1970年には908/03でニュルブルクリンク1000kmに参戦し、2位に輝いている。これまでル・マン24時間で19回もの総合優勝を果たしているポルシェに初優勝をもたらしたのがアトウッドであった。彼が917Kのステアリングを握ったのはその予選がはじめてだったという。それにも関わらず、917Kを託されたアトウッドとヘルマンは、343ラップ・4607.811kmを走り切り、トップでフィニッシュを果たしている。

「おそらく、私たちが入念な準備を経てル・マン24時間に挑んだと思われているでしょう。でも、私はレース前に917Kのテストを一度も行っていません。正直にいえば、1970年のレースで勝てるとは1ミリも思っていませんでしたよ」とアトウッドは振り返った。

翌1971年にエステルライヒリンク(現在のレッドブルリンク)で開催された1000km耐久レースでもアトウッドは917KHで勝利を果たしている。最後の表彰台は1971年シーズン、ワトキンスグレンで開催された世界スポーツカー選手権最終戦の3位となり、このシーズンを最後に現役を引退した。1984年シーズンには限定復帰を果たしている。ニムロッドNRA/Cでル・マン24時間、そしてデイトナ24時間にポルシェ 928で参戦し15位で完走。



引退後もドライバーとして活躍しており、ポルシェ・ミュージアムが公式参加するグッドウッドなどのヒストリックイベントにおいて、現役時代さながらのドライビングテクニックを披露してファンを喜ばせ続けている。

オクタン日本版編集部

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