日本に真に必要な、ラグジュアリーライフを提案したい

マリン、スポーツカー、その延長線上に見えてくるライフスタイル。それは単に豪華でハイスペックなプロダクトを所有することではない。世界がこれから注目する日本らしいラグジュアリーについて、安田造船所の野澤隆之氏にインタビューをおこなった。

「ラグジュアリーを考えるときに大事なことは、自分自身のニュートラルの位置を知ることです。自動車とか家とか、所有する何かひとつだけが突出することなく、ベースとなる自らの心地良さの測りをきちんと持って、戻るべき場所をしっかりと確認しなければなりません」
 
インタビューのはじまりに、安田造船所代表の野澤隆之氏はそう切り出した。
 
去る2020年3月、神奈川県三浦市が二町谷に保有する多目的活用事業地、約7ヘクタールを安田造船所に売却する契約を結んだことが発表された。同地ではホテル、ヴィラ、コンドミニアム、クラブハウスなど高級リゾート施設の建設が予定されている。
 
安田造船所といえば、イタリアのラグジュアリーヨット「AZIMUT」の日本総輸入代理店としてマリンファンに認知されている。そのほかクルーザーでは「バートラム」なども手掛けているが、オクタン読者なら同社がグループ会社で取り扱ってきた自動車ブランドのほうが馴染み深いだろう。アトランティックカーズ社はロータス、アストンマーティン、スパイカーなどを販売してきた実績を持ち、現在では本格スポーツカー、ダラーラ・ストラダーレを日本に導入している、まさにラグジュアリーを知り尽くした会社といえるのだ。取り扱い品目は船や自動車などの乗り物カテゴリーに留まることはない。今後の二町谷における展開プランについて、あらためて野澤氏に聞いてみた。

「日本の漁港の未来こそが本来の課題です。後継者が少なくどうしても活気がない。でも都心からの距離や地形、天候、さらに海産物などに恵まれた三浦ならば、世界のリゾートと肩を並べることができる、そんな大きな期待がもてます」
 
建築予定地付近は港湾水深8m以上を確保できており、西側に100m、北側に80mの浮き桟橋を岸壁と平行して各1本設置する。これにより西側にはギガヨットクラスの係留ができるようになるという。また、国家戦略特区の認定を受けることで、出入国管理なども可能にできる。つまりは、海外からの富裕層受け入れの土壌も整えつつあるということだ。

「三浦半島の先端に雰囲気の良い建物を作る、それ自体はそんなに難しいことではありません。ですが我々が目指しているのは、" MIURA(三浦)"の名前を世界に知らしめることであり、それにより、究極をいえば、施設とプロダクト、そしてコミュニケーションを合わせた"新しいメディア"を作ろうとしているのです」

文:古賀貴司(自動車王国) 写真:尾形和美  Words:Takashi KOGA(carkingdom )  Photography:Kazumi OGATA

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