アウディの魅力に「一歩踏み込む」デザインコンシャスなアウディQ3スポーツバック


 
そして車両重量を感じさせないもう一つの点に、足回りの良さが挙げられる。235/50R19というワイド&ロープロフィールなタイヤを履きながら、不快感の伴わないちょっと硬め乗り味を実現させている。荒れた路面では、サスペンションが凹凸を吸収していることが伝わってくるが、SUVにありがちなボディが揺さぶられる不快感とは無縁。もちろん、ボディのガッチリした剛性感もひと役買っているに違いない。
 
Q3同様、驚かされるのはワインディングロードでもグイグイ曲がっていく様だ。まるで軽いコンパクトカーを運転しているような感覚に陥る。そして、ブレーキのタッチも自然で、強い制動力に安心感を覚える。最低地上高もQ3同様、180mm確保しているにもかかわらず背の高さをまったく感じさせず、どこまでも軽快にコーナーを駆け抜ける。ボディの動きと足回りの動きにチグハグさがない。また、走りの気持ち良さは、速度感応式電動パワーステアリングのステアフィールの良さも影響しているだろう。アシスト量、操舵角が可変しているのに、ドライバーには極めてナチュラルに感じるのだ。100km/h巡行は2000rpmを下回り、疲れ知らずな乗り心地は大陸横断マシンであることを感じさせてくれる。



足回りの良さが際立っているため、もっとアクセルを踏み込みたくなる欲求に駆られるのもQ3と同じ。ただ、この2リッター ディーゼルターボエンジンは低回転域でのパフォーマンスが重視されているゆえに、アクセルペダルを幾ら踏み込んでも、ある一定以上からは加速しないように感じる。また、中間加速域でもっとパワーが欲しい、と思っても・・・、おもしろいくらい反応に薄い場面があった。そういう意味では「シャシーはエンジンよりも速く」を体現したような車だ。もっとも、そこまでの加速性能を求めるのであれば、今後登場するであろうSQ3スポーツバックやRSQ3スポーツバックなどを狙うべきなのだろう。

余談だが、筆者にはQ3スポーツバックのほうがQ3よりも硬めな足回りのセッティングであるように感じられた。試乗会場でアウディのスタッフに確認してもらったところ、足回りのパーツ番号は全てQ3スポーツバックもQ3も同じだった・・・。エンジンも共通ならば、トランスミッションも7速Sトロニックでギア比も全く同じ。車両重量10kgの違いこそあれ、試乗したQ3もQ3スポーツバックも同サイズのホイール&タイヤだった。全高の違いによる重心の差、数ミリに過ぎないが前後オーバーハングの違いの違いを筆者が感じ取った、とはにわかに想像しがたい。だとしたらシート表皮の違い、車内の頭上スペースの違い、から自分の身体が揺さぶられたことを過敏に感じ取ったのだろうか?

Q3スポーツバックのデザインから“スポーティ”という先入観を抱いてしまっていたのなら、恥ずかしながらアウディ・デザイナーの術中にハマってしまったと言わざるを得ない。ちなみに試乗したQ3スポーツバック35TDIクワトロSラインは、Q3と同グレードと比較すると車両本体価格はプラス20万円となっている。これはなかなか絶妙な価格差ではないか。Q3並みの使い勝手の良さは欲しいけど、SUV然としたQ3とは異なるものが欲しいという人なら“惜しくない”と思える価格差だろう。それにしてもアウディのモデル・ラインナップにおけるポートフォーリオ理論の実践は凄まじい・・・。綿密なデータ収集の元に、収益も考慮されたうえでのラインナップだとは思うが、SUVをさらに派生させるとは思わなかった。日本でどれほど、このデザインコンシャスなQ3スポーツバックが受け入れられるのか、注目している。


Audi Q3 35 TDI quattro S line
エンジン:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ (1気筒=4バルブ)
排気量:1,968 cc
最高出力:110 (150) / 3,500 - 4,000 kW (PS) / rpm
最大トルク:340 (34.7) / 1,750 - 3,000 Nm (kgm) / rpm
サイズ:4,500×1,8401,565mm
ホイールベース :2,680mm
車両重量:1530kg
価格:452万円(税込)


https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html


文:古賀貴司(自動車王国)  写真:佐藤亮太

文:古賀貴司 写真:佐藤亮太

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