知っておきたい!「出発点に戻ってきた」四輪駆動の120年にわたる歴史

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不思議な巡り合わせで、四輪駆動は120年をかけて出発点に戻ってきた。今後もその存在価値が変わることはない。


パイオニア ─ スパイカー

今や四輪駆動のない世界は想像しづらいが、四輪駆動は自動車の黎明期から様々な形で存在していた。フェルディナント・ポルシェは、1900年に四輪駆動のハイブリッド電気自動車、ローナー・ポルシェを設計した。おそらく影響力でこれを上回ったのが、8.7リッターの直列6気筒エンジンを搭載した1903年スパイカー60hpだ。1台のみ造られ、1907年には北京- パリ・ラリーで完走を果たした。
 
モータースポーツにおける四輪駆動のパイオニアといえばクワトロが思い浮かぶが、エンジニアたちはその何十年も前から四輪駆動のコンセプトを試していた。1960~70年代にはF1で使われ、トラブルも多かったものの将来性を感じさせた。最も成功した四輪駆動レーシングカーのパイオニアがハリー・ミラーだ。ミラーは1930年代に四輪駆動のマシンを設計してレースに出走させた。特に1932年のインディアナポリス500に四輪駆動車を2台エントリーしたことが有名だ。


ジェンセンFF

四輪駆動を売れる商品にしたのはクワトロだが、ジェンセンは既に1960年代に、四輪駆動が畑仕事以外にもおおいに役立つことを示した。このハイパフォーマンスGT は、先に販売されていた後輪駆動のインターセプターをベースに、革新的な四輪駆動システムを組み合わせ、アンチロックブレーキも備えた。採用した四輪駆動システムを設計したのは、トラクターメーカーであるメッシー・ファーガソンのハリー・ファーガソンだ。1950年代初頭に開発してF1でも試したが、主要メーカーはこの技術に見向きもしなかった。


スバル・レオーネ

何の変哲もない1970年代の日本のサルーン(写真はエステート・バン)に見えるが、これこそスバル独自の四輪駆動システムの元祖だ。サルーンのほか、ピックアップトラック仕様のブラットも北米で人気があった。1972年からスバルの"シンメトリカルAWD"がオプションに加わり、こうした一般的な乗用車を四輪駆動とした最初の例となった。


フィアット・パンダ 4×4

実用的で、何より非常に手頃なハッチバックに、大きなグラウンドクリアランスと四輪駆動が組み合わされ、豪雪地帯の山間地で冬期も使うことができた。同様の車も生まれたが、こうしたパターンを作り出したのはパンダであり、今もスキーコテージのアクセサリーとして不動の地位を誇る。日本メーカーはパンダ出現以前から小型・軽量な4×4を送り出してきた。驚くほど有能なスズキ・ジムニーがその好例だ。


ジープ/ランドローバー/トヨタ・ランドクルーザー

ウィリス・ジープは、第二次世界大戦で連合軍の勝利に大きく貢献した。ロシア軍でさえ5000台を配備していたほどだ。戦後も自動車界を変革し続けた。この全地形対応の軽量なモデルがヒントとなり、"どこにでも行ける"をキャッチコピーにした頑丈なランドローバーが誕生。その名声は世界中に広まり、未来のエンジニアや冒険家を刺激した。そこに、いまだ並ぶもののない信頼性と頑丈さを付け加えたのがトヨタ・ランドクルーザーだ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Matthew Hayward

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