MX-5誕生の裏にいた「クルマ好き」│愛情から生まれた一台

Photography:James Lipman


 
それほど熱い車好きのチームなのだから、録音した排気音を皆で聴き、自分たちのエンジンに最適な音を追求してもまったく驚きではない。同じ情熱を持つ人間がLA 近郊に集まったのもまるで不思議ではない。今なおロサンゼルス周辺は、日曜の朝の気軽なミーティングに出かけると、いかにも大切にされているシボレー・シェベルのチューンドカーがメルセデス300SLガルウィングとジェンセン・ヒーレーの間に挟まれて停まっているという、そんな光景が当たり前の土地柄なのである。

このような環境がチームメンバーを結び付け、MX-5を芽吹かせたのである。「いつもオープンで走れる場所は他にあるかい?」と言うのは東海岸からの移住者であるサワードだ。「メインやシアトルではこんな車は創れない。コンバーチブル・スポーツカーは南カリフォルニアで作るべきなんだ」と。確かにMX-5がクラシックカーへの愛情から生まれたのは間違いないようだ。だが、それは本物と感じられるのだろうか。


 
座っただけではそうは思わないかもしれない。室内は手際よくきちんと設計されている。ミニマリズムに加えて、レトロな装飾が注意深く施されている。円形のアウトレットやダイヤルは保守的だが時代遅れというものではなく、ギアレバーはステアリングホイールにごく近く、掌分ぐらいしか離れていない。身体にフィットした申し分ないドライビングポジションだが、もっとも6フィート以上の大柄な体格の人はちょっと苦労するだろう。

「女性の車と言う人もいるが、それはまったく違う。おそらくそれは大男のラインバッカーが運転しているのを見たことがないというだけだ。彼らもたぶん運転したいはずなんだが、単に大男には狭すぎるんだ」

アメリカ仕様のエアバッグが備わったステアリングホイールを除けば、インテリアは外観同様決して古びては見えないが、硬質プラスチックのトリムはまるっきり90 年代の日本車の典型で、少々安っぽく感じられる。だがあの当時、実際に安かったのである。


当時の価格は?・・次回へ続く

編集翻訳:高平高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Dan Trent Photography:James Lipman

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