納屋に眠っていた謎のクラシックカーの正体は?│ルーフに厚く積もるほこりが物語る年月



さて、そうしたオーナー紳士が実は長年気に掛けながらも手をつけていない、謎のクラシックカーが納屋にあるという。その納屋は昔、能の舞台としても使われた、厳かな扉に覆われた豪奢な建物。今は雑然とした物置になっており、不要になった家財品が積み上げられていた。その奥の奥、荷物を掻き分けて進んだ先に、黒く鈍く光る大きな車体が見えた。約30年間、一度も動かされることなく保管されてきたというだけあって、ルーフに積もったほこりの厚みは見事なものだ。欧米のオークションなら、倉庫保管の証として高い評価を得ることになるだろう。
 


車台番号から調べたところ、その正体はW136型のメルセデス・ベンツ170Sであることが判明した。1936年から55年まで、第二次世界大戦前後に生産されたモデルで、木骨に鋼板という構造が、生まれた時代を感じさせる。オーナー紳士いわく、この車体は1970年頃に先代がブローカーから手に入れて、会社のコマーシャルカーとして走らせていたらしく、この納屋に収まるまでは実動車だったという。



エンジンルームを覗くと、ディーゼル車であることはわかる。しかし、我々取材班もあまり目にしたことがなく、興味津々。一方で、その価値を理解できているのかというと、実に怪しい。その歴史を手繰りながら、レストレーションなどして、実動車として平成の道に復活させるなんて計画が実現できれば、素晴らしい事この上なし…。ただただ、妄想だけが膨らんでしまった。
 

文・写真:桑野 将二郎 Words and Photography: Shojiro KUWANO

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