試行錯誤でトラブル続きだった ?!│ポルシェの長距離レースへの挑戦

Porsche AG



当時シャシーの開発に携わっていたギュンター・シュテックケーニヒが当時の様子を教えてくれた。「オーバルコースからいつものエンジン音が聞こえてきたら、ひと息ついて軽食を取ったり、キャラバンで少し休んだりしていました」

そして深夜、ポルシェ906のエンジン音に異変が起きた。すぐさまピットに入り、ショックアブソーバーのピストンロッドが破損していることが確認された。シュテックケーニヒの判断で新しいスプリング・ストラットに交換して再びレースへ。しかし、またすぐにピットインすることに。原因は別のショックアブソーバーのピストンロッドの破損だった。急ピッチで修理が行われ、なんとか復活。と思いきや、またもやパイプフレームの前方左に取り付けられていたスプリング・ストラットの破損により906はピットへ。



レース終了まで残り20時間あまり。FIAのレギュレーションでは、長距離スピードトライアルにおいて全てのスペアパーツは車内に携行しなければならず、ピットにはスペアホイール、ジャッキ、スパークプラグ、燃料、そしてオイルしか持ち込めなかった。ポルシェのスタッフはありとあらゆる可能性を想定して準備をしていたのだが、ひとつだけ予想をはるかに超えていたのが、モンツァの高速バンクが車輛に及ぼすダメージだった。1954年に改修され、バンク角が45度もあるコーナーはアスファルトではなくコンクリート路面で、かつ部分的に舗装状態が極めて悪かった。ところどころ大きな穴すら開いていて、ポルシェ906のように繊細なマシンにとっては多大なダメージとなったのだ。

希望が全て失われたわけではなかった。規定では、48時間以内であればスピードトライアルの再スタートが可能とされていた。緊急会議が行われ、イタリア・モンツァの現場とドイツ・ツッフェンハウゼンの間で慌しいやり取りが続いた。そこで下された決断は、より耐久性の高いポルシェ 911Rで挑戦するというものだった。

しかし、そのうちの2台はまだツッフェンハウゼンのテスト部門にあった。限られた時間で1台を本番走行用、もう1台をスペアパーツ用として、計2台のポルシェ911Rをモンツァへ送り届けなければならない。ポルシェのエンジニアが本番走行用に911Rのトランスミッションを4速仕様から5速仕様へと換装している間、先に2台目の911Rがメカニックのハインツ・ボイアーレのドライブによりモンツァへと向かうことになった。


そしてモンツァへ到着・・・次回へ続く

オクタン編集部

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