【訃報】ポルシェ911エンジンの父 ハンス・メツガー氏 90歳で逝去

Porsche AG

ポルシェのエンジニアヒストリーにおいて、絶対的な存在であるエンジニア、ハンス・メツガー氏が90歳で2020年6月10日に逝去した。

メツガーはポルシェのホームタウンであるシュトゥットガルト近くの小さな村で生まれた。学校を卒業すると、優れた彼の才能を聞きつけた会社からたくさんのスカウトがあったそう。しかし彼は、当時とても小さい会社であったポルシェに就職したい、という強い想いを抱いており、ポルシェを就職先へ選んだ。
 
トラクターの開発からはじめ、1960年にスタートしたポルシェ初のF1マシン開発プロジェクトにおいて、メンバーの一員となる。それからすぐに、「メツガー・エンジン」とも呼ばれる901の空冷エンジンを手がけたのだ。 

1965年にはレースカーの開発部門においてトップになる。そこでメツガーに託されたのはル・マンで勝てる車を開発すること。そして、その結果として誕生したのが、伝説のレーシングマシン917である。12気筒エンジンを搭載し、1000bhp以上を発揮したのだった。 

その後、Can-Amシリーズに917のエンジンにターボチャージャーを搭載することを思いつく。このターボの概念が911ターボに繋がっていき、それが発展していきGT3などといったモデルへと変化していったのだ。メツガーなしには911はなかったといえるだろう。



彼が最も誇りに思っているプロジェクトは、ポルシェ開発の1.5リッター ターボチャージド V6エンジンをマクラーレンF1チームに提供したことだという。それは25のレースで勝利し、2度のコンストラクターズチャンピオン、3度のドライバーズチャンピオン(1度はニキラウダ、2度はアラン・プロスト)を獲得したのだった。 

ポルシェR&D,モータースポーツ部門でトップを務めるマイケル・ステナー氏は、「私たちはハンス・メツガーが成し遂げた、卓越したエンジニア技術に感謝しています。モータースポーツ、そしてポルシェの歴史において重要な役割を果たしています。彼のイノベーションは、ポルシェで永遠に引き継がれていくでしょう」

オクタン日本版編集部

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