ロードカーとレースカーの中間を埋めるアストンマーティンのサブブランド「AMR」。2017年6月14日、その最初のモデル「ヴァンテージAMR」が発表された。
アストンマーティンにモータースポーツの血統が脈々と受け継がれていることは、同社の歴史を見ても明らかだ。創業から数年間はモータースポーツに専念していたし、ル・マンでは常連であり、1959年にはDBR1で総合優勝という快挙を成し遂げた。また、2004年にアストンマーティン・レーシングが結成されてからも、アストンマーティンはFIA世界耐久選手権(WEC)をはじめとしたレースを舞台に大いなる活躍を見せ、世界中で数多くの勝利とタイトルを獲得してきた。
そうしたアストンマーティンが、2017年3月7日、ジュネーヴ・モーターショーにおいて、ロードカーとレーシングカーの中間に位置づけられるスポーツモデルを製造するサブブランド「AMR」の門出を発表した。AMRのラインナップは既存のロードカーをベースとしながらも、各部にサーキットで培われた技術がフィードバックされ、より動力性能を強化した特別なモデルとなる。また、AMR モデルより更に強力なスペックが与えられたAMR Proも発表された。これは主にサーキット走行を前提とした、より走行性能に特化したモデルで、開発もアストンマーティン本社のエンジニアリングチームではなく、過去にも特別な高性能モデルを手がけてきたQ by Aston Martinのアドバンスド・オペレーション部門に委ねられる。
そんなAMRのラインナップ第一弾として選ばれたのは、世界耐久選手権のGT4、GT3、GTEカテゴリーでも大きな成功を収めたスポーツモデル「ヴァンテージ」だ。今回発売されるヴァンテージAMRの最高出力は、V8モデルが430bhp、V12モデルでは市場によって565bhpまたは595bhpとなっている。トランスミッションはオートメーテッド・シーケンシャル・マニュアル・パドルシフトが組み合わされるが、V8モデルは6段MT、V12モデルは7段MTを選択することも可能だ。
ボディカラーは以下の4種類が用意される。
・ストレータス・ホワイト & オレンジ・グラフィック
・ウルトラマリン・ブラック & ブルー・グラフィック
・ザフレ・ブルー & レッド・グラフィック
・シンティラ・シルバー & グレー・グラフィック
上記に加え「Halo Pack」と呼ばれる特別なパッケージも用意される。
2016世界耐久選手権に参戦してタイトルを獲得したヴァンテージGTE 95号車をモチーフにしたボディカラー(スターリング・グリーン & ライムグリーン・グラフィック)が与えられ、エンブレムはユニオンジャック・エナメル加工のものが選択可能となる。
インテリアは、各ボディカラーに合わせて特別な配色が選択される。素材はボディタイプによって異なり、クーペはレザーとアルカンターラの組み合わせ、ロードスターはオール・レザー仕様となる。ちなみに「Halo Pack」を選択した場合は、インテリアにも鮮やかなライムグリーンの縁飾りが施される。
ホイールは、V8モデルには5スポーク・アロイ・ホイール、V12モデルには10スポーク・アロイ・ホイールが設定され、それぞれ3種類の異なる仕上げが用意される。
ヴァンテージAMRに用意されるオプションは、きわめて魅力的なラインナップとなる。カーボンファイバー製のエアロダイナミクス・パッケージ「AMRエアロキット」は、アストンマーティン・レーシングと共同で開発されたもので、フロント・スプリッター、ダイブ・プレーン、サイド・シル、固定式リア・スポイラーから構成される。また、ジュネーヴ・モーターショーに展示されたVantage AMR Pro Conceptと共通のデザインが与えられた鍛造アルミニウムAMR Vantageホイールも選択が可能だ。さらに、軽量なAMRチタニウム・エキゾーストを選択すると、重量を14kgも削減でき、同時にエンジンレスポンスも向上させることが出来るという。
ヴァンテージAMRは、V8が200台、V12が100台の、世界限定300台が生産される予定だ。日本市場における価格はまだ公表されていないが、英国では9万7995ポンド(約1400万円)から購入可能とのこと。詳細はアストンマーティン公式ページよりお問い合わせいただきたい。
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