野心的なプロジェクトスタートにあたり・・・ポルシェ タイプ 959 C29

未来的なアイデアと技術を体現するものがプロトタイプだ。 中には、時代を先取りしすぎたり、斬新すぎるものもあったが、無駄に終わったことはなかった。しかし、どれだけクリエイティブなスピリットが秘められ、最高峰のエンジニアリング、芸術性を備えていたとしても、すべてが市販化に結びつくというわけではない。今回はポルシェ 959のプロトタイプをご紹介。

1983年、ポルシェはフランクフルト国際モーターショー(IAA)でハイパフォーマンスモデル “グルッペ B” を発表し、ポルシェの革新性を世界に印象付けた。1985年からポルシェ 959 として限定生産されたこのスタディモデルには、水冷式シリンダーヘッドとツインターボチャージャーを装備した水平対向エンジンが搭載され、最高出力は450ps(331 kW )、そして最高速度300 km/hの壁を打ち破り、マイルストーンを打ち出したのであった。電子制御式サスペンションをはじめ、アクティブ制御による 4WD システム、エアロダイナミクス性を最適にしたボディは、後にポルシェが開発するスポーツカーにおいて技術的ショーケースとなった。

この野心的なプロジェクトがスタートする際、ポルシェ 959 のプロトタイプとして"タイプ 959 C29"が製作された。1982年に風洞実験を徹底的に繰り返した結果、0.3という空気抵抗係数(Cd 値)を記録しながら、揚力をゼロに抑えることに成功したのだ。このC29 は、エクステリアに組み込まれたリアスポイラーをはじめ、フロントウィンドウからAピラーへと流れるように描かれたなめらかなライン、そしてエアロダイナミクス性に優れたアンダーボディに装着されたプラスチック製のパネルなど、新機軸が盛り込まれていた。


期間: 1982年
エンジン: 水平対向 6気筒ツインターボ
排気量: 2849cc
最高出力: 450ps(331kW )
車両重量: 1450kg
最高速度: 315km/h

オクタン日本版編集部

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