どんな場面でも最適な性能を発揮する熟成度│ベントレー コンチネンタルGT V8の性能

Bentley motors



コンチネンタルGTにはW12 6.0リッターとスポーティなV8 4.0リッターという2種類のエンジンが用意されている。いずれも新型は旧型に対して、W12エンジンで45ps/180Nm、V8エンジンで43ps/110Nmもパフォーマンスが増強されているのだが、それとともに注目したいのが気筒休止機構を備えている点にある。気筒休止機構とは、エンジンの負荷が小さいときに部分的にエンジンを休止させて燃費を向上させる手法。具体的には、W12は6気筒に、そしてV8は4気筒として効率を改善し、省燃費化に貢献させる技術である。しかし、心配はご無用。たとえエンジンの半分が休んでいてもスムーズさやエンジン音はそれまでとまったく変わらず、どんなに感覚を研ぎ澄ませても気筒休止が働いたとは気づかない。こうした技術の熟成度にも目を見張らされるものがある。

ちなみにふたつのエンジンの最高出力と最大トルクはW12が635ps/900NmでV8が550ps/770Nmと数字の上では明確な差があるが、現実の路上ではどちらも十分以上に速いと感じるだけで、速さの違いを見極めるのは不可能に近い。状況によっては、俊敏な吹き上がりを持ち味とするV8のほうが走りはシャープに感じられることもあるくらいだ。しかも燃費はV8がW12を15%ほど上回っており、1回の満タンで走行できる航続距離も同様にV8のほうが15%ほど長い。したがって長距離移動が多いドライバーにはV8のほうがむしろ魅力的と映ることだろう。

 
続いて駆動系について説明しよう。2代目コンチネンタルGTのギアボックスはトルコン式8段ATだったが、これが新型では同じ8段のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)に改められた。これはスーパースポーツカーで広く採用されている形式で、シフトに要する時間が極めて短く、しかも変速を終えればエンジンと駆動輪がソリッドに連結されるため、鋭いレスポンスや正確なコントロール性を得るのに有利とされる。くわえて、ベントレーのグループ企業であるアウディは世界でいちばん最初にこのDCTを製品化しただけあってノウハウを豊富に有しており、このスポーティなギアボックスをトルコン式並みにスムーズに動作させることができる。つまり、ここでもスポーティさと快適性は両立されたのである。


 
同じ駆動系でいえば、前後の車軸にエンジントルクを振り分ける4WD機構は、先代のトルセン式から電子制御多板クラッチ式に改められた。機械式のトルセンは反応速度が速いものの、アクティブにトルク配分をコントロールできないのが弱点。いっぽうで電子制御多板クラッチ式はトルク配分を自在に変化できるうえ、最新の技術によりトルセンにも劣らないほどの反応速度を実現。このため、たとえば後輪へのトルク配分をより増やしてスポーティなハンドリングを実現できるほか、滑りやすい路面では前輪へのトルク配分を増やしてトラクション性能を高め、車両の安定性を向上することもできるようになった。


 
最後はサスペンション。3代目コンチネンタルGTは内部の空気容量がこれまでよりも60%以上も多い3チャンバー式エアサスペンションを採用。走り優先のソリッドなセッティングから、優れた快適性をもたらすソフトな設定まで幅広い可変領域を確保した。さらに新型では48V系電源を用いたアクティブ・アンチロールバー(W12に標準装備、V8にオプション設定)のベントレー・ダイナミック・ライドを装備。スポーティなドライビングではアンチロールバーをしっかり効かせてボディのロールを抑えるとともに、快適性が優先される場面では左右輪を連結させるアンチロールバーの働きを弱めてしなやかな路面追従を可能とする。こうしてスポーツ性と乗り心地のよさを両立させたのだ。
 
どんな場面でも最適な性能を発揮できるように生まれ変わった3代目コンチネンタルGTは、グランドツアラーの資質をさらに高めた力作といって間違いないだろう。


文:大谷達也


ベントレーコンチネンタルGT V8の魅力 エクステリア編
ベントレーコンチネンタルGT V8の魅力 インテリア編

 
ベントレー コンチネンタルGT V8(※本国発表値)
ボディサイズ:4850mm×2187mm×1405mm
ホイールベース:2851mm
車両重量:2725kg
エンジン形式:4.0リッター V8 ツインターボチャージド
排気量:3996cc
駆動方式:アクティブオールホイールドライブ
変速機:8段DCT
最高出力:550ps/6000rpm
最大トルク:770Nm/2000-4000rpm
最高速度:318km/h
2498万1000円


ベントレー コンチネンタルGT V8コンバーチブル(※本国発表値)
ボディサイズ:4850mm×2187mm×1399mm
ホイールベース:2849mm
車両重量:2800kg
エンジン形式:4.0リッター V8 ツインターボチャージド
排気量:3996cc
駆動方式:アクティブオールホイールドライブ
変速機:8段DCT
最高出力:550ps/6000rpm
最大トルク:770Nm/2000-4000rpm
最高速度:318km/h
本体価格:2736万8000円


ベントレーコンチネンタルGT V8

文:大谷達也 Words: Tatsuya OTANI

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