フェラーリ vs マクラーレン 桁外れのスーパーカーを比較!│どちらが本当に優秀か?

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ラ フェラーリのライバルは言うまでもなくマクラーレンP1だ。両モデルをドライブした経験のあるマーク・ヘイルズが比較する。

ラ フェラーリもマクラーレンP1も、どちらも買うことができない我々が知りたいことはただひとつ、"どちらが本当に優秀か" である。そして少なくともはっきりしていることは、この2台がまったく異なる思想をもつマシンであるということだ。ミドシップレイアウトであるということだけは同じだが、それぞれのエンジニアは設計にあたりまったく違うアプローチを取ってきた。
 
目立つのはフェラーリの大きな自然吸気V型12気筒エンジンだ。対してマクラーレンはターボチャージャー付きV型8気筒でサイズはほぼ半分。だがどちらもハイブリッドシステムで大きなパフォーマンスを獲得している。ハイブリッド採用の目的は、フェラーリでは大排気量V12の低回転時のトルク不足を補うためであり、マクラーレンではターボラグを埋めるためだ。だが、2台のフィーリングの違いはその目的以上に大きく感じられる。
 
フェラーリのモーターは後方に配置され、ディファレンシャルに直接パワーを供給する。一方、マクラーレンの場合はエンジンの横に搭載して、ギアボックスを介してオープンデフに入る。リミテッドスリップデフの備えはなく、後輪へのトルクが過剰になるとブレーキキャリパーがコントロールする。サーキットを走行すると、マクラーレンのリアブレーキはフロントより忙しく働くことになる。P1はダンパーも電子制御で常時動いている。アンチロールバーもなく、ロールの度合いはコンピューターが決める。説明を聞いてもピンとこないかもしれないが、確かにサスペンションはたぶん忙しく仕事をしている。マクラーレンのチーフテストドライバーであるクリス・グッドウィンは「たとえ作業場で解体された車を見ても、その25%しか理解できないだろう」と話す。
 
それはフェラーリについても同じだ。だが、こちらのほうは伝統的な技術を介して電子制御を行っているので理解はしやすい。究極のマシンを理解するにあたって難しいのは、こうした技術を採用した意図を正確につかむことだ。マクラーレンには完全な電気走行モードがあるが、フェラーリにはない(可能ではあるというが)。
 
インテリアを眺めるとP1のコクピットのほうは圧迫感があり、乗り降りはしにくい。そして一般道での乗り心地は比較的かためだ。サーキットではP1は調節装置が多くドライバーが関与できる部分が多いので、その分コントロール性は高く感じる。コーナーの中ほどでも出口でもリアをルーズにできるのだ。対してラ フェラーリはそもそもそうした難しい状況にマシンを陥らせない。その一番の理由は、リア重量がかなり大きいからではないかと私は見ている。ここだけは唯一エンジニアに選択の余地がなかった点だと思うし、ラ フェラーリのドライビングインプレッションは、この点の好みと大きく関係しているのだろう。
 
絶対性能については申し分ない。どちらも強烈に速い。記憶やスペックだけに頼るのは賢明でないのは分かっている。だいたいにして、別々の日に、違う国、違うコースでテストをしたのだからなおさらだ。違いは確かにあった。ラ フェラーリのほうがほんの少し筋肉質で、どのギアでも即座に飛びかかるような加速を見せてくれたように思う。それに12気筒は8気筒エンジンよりもサウンドとして豊かである。エンジンサウンドに関しては、フラットプレーンのV8であるマクラーレンP1にできる工夫はあまりなかったといえる。だが、ターボサウンドを遮るものはなく、不規則な間隔でターボの音が響き渡る。これも圧巻だ。
 
まったく異なるサウンド、まったく異なるスタイリング。どちらも桁外れだが、それぞれにまったく異なる。

編集翻訳:堀江 史朗 Transcreation: Shiro HORIE 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Mark Hales

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