「101年目のシトロエン 試乗記 その④」3列シートで7人乗り。でも他とちょっと違う



実際に走り始めてみると、このグランドC4スペースツアラーの本領が見えてくる。ラインナップされているエンジンは2.0リッター直列4気筒DOHCターボディーゼルBlueHDi。PSAディーゼルのクリーンテクノロジーは秀逸である。16.7という高い圧縮比のシリンダー内部に、コモンレールを介して2,000バールの高圧燃料を直接噴射。可変ジオメトリー・ターボの過給効果も併せて、最高出力163ps(120kW)/3,750rpm、最大トルク400Nm/2,000rpmを発揮している。

とはいえ、この馬力スペックからは、あまり走りの良さを期待しない方が多いかもしれない。だが注目すべきは400Nmの太いトルクである。シフトバイワイヤ技術を採用したアイシン製の電子制御8段オートマチックトランスミッションとの組み合わせで、街中における低速域の力強い加速から高速域の伸びやかなクルーズに至るまで、スムーズかつ時にパワフルなドライビングを楽しむことができるのだ。

この乗り心地は、他の車では味わえない

シトロエンといえば、“乗り心地の良さ”という定評があるが、それはこのグランドC4スペースツアラーでは特筆である。



もちろん、今やハイドロニューマチック式ではないオーソドックスなメカニカル・サスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット式で、リアはトーションビーム式。だが、そのテイストは、あの往年のDSに感じられる「魔法の絨毯」に乗っているような心地よさがある。通常の自動車では、それぞれのサスペンションが忙しく仕事をしながら頑張ってくれている感があるが、グランドC4スペースツアラーにはそれが感じられない。これは他の自動車ではほとんど味わうことのできないセンスである。…何といったらいいのだろう。あたかも、よく出来たモーターボートに乗って、凪のない海原をぐいぐいと進んでいくような感覚。発信加速からコーナーリング、急減速時にも、独特の安心感をパッセンジャーに提供してくれるのだ。



たぶん2840㎜という長いホイールベース(ちなみに昔のDSは3125㎜もあった)が、この乗り心地をもたらしてくれているのだろうが、それをさらに効果的にしたのはアルミニウムや超高張力鋼板を採用したEMP2プラットフォームである。大幅な軽量化により、広い室内空間と軽快な走行フィール、そして静粛性まで、あらゆるメリットを手に入れた。被害軽減ブレーキとアクティブクルーズコントロールやドライバーアテンションアラート機能も付いたレーンキープアシスト機能、縦列駐車を楽にするパークアシストまで標準で装備されている。オプションとしてはナッパレザーを選ぶか否かくらいの装備の充実ぶりだ。

約1週間、高速も含めて約350㎞を走行した。燃費は16.2㎞/リッター。軽油ということもあり、燃料代をまったく気にすることなく、マルチな魅力を存分に味わうことができた。この車を所有することで過ごし方が変わるかもしれない。そんな魅力をもった特別な1台である。


シトロエン グランド C4 スペースツアラー SHINE BlueHDi
ボディサイズ:4605×1825×1670mm
ホイールベース:2840mm
車重:1660kg
駆動方式:FF
エンジン:直列4気筒ディーゼルターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:163ps(120kW)/3750rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgf・m)/2000rpm
価格(税込):416万円

試乗車価格
価格(税込):452万8060円
オプション装備品:
メタリックペイント   6万500円
ナビゲーションシステム 23万9250円
ETC 2.0        4万4550円
フロアマット      2万3760円



オクタン日本版編集部(堀江史朗)

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