ポルシェの「眠れる森の美女」│倉庫で静かに眠る500台以上の珍しいお宝たち

Photography: Matthew Howell

ポルシェミュージアムは同社の歴史であるコレクションのうちほんの一部しか展示していない。残りのコレクションはいったいどうなっているのだろうか?倉庫で一つ屋根の下に集うコレクションを「Octane」は覗いた。

1949年、ポルシェの創設者であるフェルディナント"フェリー" ポルシェは大きな悩みに直面していた。戦争中の疎開先だったオーストリアのグミュントでは、難民となった従業員たちのサポートで何とか50台の車を製造することができたものの、終戦でシュトゥットガルトに戻ったばかりの彼は、再度本格的な自動車生産に取り掛かるべきかどうかを自ら決めなければならなかった。たとえそれが大きな賭けだとしても。
 
彼はこの先数年の間に、魅力的なポルシェの小型スポーツカー500台ほどを、世界中の市場が受け入れてくれるだろうと考えていた。戦争によって相当の資金難に陥っていたポルシェには、のちに博物館の展示用として500台以上ものコレクションを抱えることができるようになるなど、想像もできなかったことだろう。それだけの実車が今、ポルシェ・ミュージアムにコレクションされているのだ。


 
数百万ユーロを投入して2009年にオープンした同ミュージアム。85台は永久展示車両とされている。またその他数十台もディーラー展示やさまざまなイベント、ショーのために世界中を駆け巡っているのだ。それでもさらに"保管すべき" 車両が350台程はあるという計算になるから、たいへんな規模である。これらの車両は、ミュージアムが開業するまでシュトゥットガルト市内数か所に分散保管されていたが、生産ラインのあるツッフェンハウゼン近郊カレンベルクの空き工場を改造して倉庫を準備。一か所にまとめられることとなった。

ポルシェの「眠れる森の美女」│倉庫で静かに眠る500台以上の珍しいお宝たち(写真17点)
 
ポルシェではこれらの車たちを"眠れる森の美女"として大切にしており、事実それらは間違いなく美しかった。第二次世界大戦を戦い抜いてくたびれ果てたキューベルヴァーゲンでさえ、独特の品格を醸し出しているのだ。
 
マーケティングの観点から「過去が未来の一部」と考えられるようになった現在、ポルシェは全モデルから最低でも1台は保管している。それらは通常、最初の1台目、もしくは最後に製造したもの。結果として新しい倉庫には近年のロードカーが多くなり、次いで2.7から4.0リッターまでのカレラ、そして356 スピードスターを含む全ての911スピードスターが輝きながら列をなす。無論ターボや959も目の保養となっている。

編集翻訳:石丸 淳 Transcreation: Jun "Romano" ISHIMARU 原文翻訳:関根真理 Translation: Mari SEKINE Words: Delwyn Mallett Photography: Matthew Howell

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