今見ても「未来の車」!50周年を迎えるシトロエンSMを振り返る

PSA

シトロエンSMは、1970年にジュネーヴ・モーターショーで発表された車である。2020年で記念すべき50周年を迎えた。

当時のシトロエン経営者ピエール・ベルコの采配で、シトロエンはマセラティを傘下に収め、マセラティ製V8エンジンの2気筒を削るというやり方で、SMが切望していた高性能エンジンを手に入れた。ちなみに、SMとは"Sport Maserati"の頭文字だ。



そして、ロベール・オプロン主導によるSMのスタイリングは、2ドアクーペとして抜群の優美さとスポーティーな雰囲気を放ち、エキゾチックカー全盛の時代に独自の存在感を醸し出した。50周年を迎えてもなお、その独特な雰囲気は全く衰えていない。今見ても、「未来的」なスタイリングである。




シトロエンがSMを発表したことによって、フランスはフラッグシップカーの基礎を築いたといえよう。エアロダイナミックなボディ、4カムエンジン、そしてハイドロニューマチック・サスペンション・システムをフル活用していたことで、同じ価格帯のGT車がすぐに廃れていってしまったほど。

戦後のフランス自動車産業では、お金で買える最も革新的な自動車が何台も生み出されていた。その中には、ファミリー向けハッチバックとシックなシティカーがあり、最先端のスポーツカーには航空宇宙技術までもが組み込まれたのであった。日本の街中でSMを見かけることはあまりないが、初めて見る人は宇宙船が走ってきたのか、と必ず思うであろう。



また、フランスでシトロエンはフランスの歴代大統領の公用車として数多く採用されてきた。もちろん、その中にはSMもあった。1972年モデルのシトロエンSMを、車好きとしても有名だったジョルジュ・ポンピドゥ大統領が最初に購入し、その後はジスカール・デスタン、フランソワ・ミッテラン、そして2007年まで大統領職にあったジャック・シラクと、4代にわたって30年以上も引き継がれたのであった。



その歴史を称えるため、2020年2月にフランスで開催されたRetromobileでDSオートモビルとコラボレーション展示も行われた。また、「SMを現代に蘇らせたら?」というデザインコンペティションも本国では開催されたりと、次世代へ存在を受け継いでいくべき車のうちのひとつなのであろう。 

オクタン日本版編集部

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