ベントレー ベンテイガV8の魅力│値段以上の性能とラグジュアリーのバランス

Ryota SATO

2019年、創業から100年を迎えたベントレー 。一年を通し様々なイベントが行われ、スペシャルなモデルも登場した。コンチネンタルGTコンバーチブルをベースに戦前のベントレーブロワーをオマージュした限定車や、未来のグランドツアラーを提案するコンセプトカーEXP100GTなどが記憶に残る。だがそれに止まらない。ベントレーは全モデルに特別仕様車を設定した。“センテナリーゴールド”のバッジを付けたのがそれだ。どれもコレクターズアイテムとなる。
 
そして年を明けた2020年、ベントレーは新たな時代に入っていく。101年目のリスタートだ。ここでは、その中で注目すべき3台をフューチャー。ミュルザンヌ・スピードに続く、ベンテイガV8はミュルザンヌとは逆のドル箱となるモデル。昨年はコンチネンタルGTが新しくなったのでその座を受け渡したが、売れ行きは上々。2019年日本でのベンテイガのシェアはラインナップ中約42%だったが、その8割以上がV8モデルであったほどだ。
 


注目すべきはベントレー初のSUVであるということ。現在はランボルギーニもロールスロイスもそれをラインナップするが、ベントレーはどこよりも早くウルトララグジュアリーSUVをリリースした。しかも完成度は高く、パフォーマンスも申し分ない。大きくて重いボディをドーンと加速させるだけのパワーもあればそれを急制動させるブレーキ性能も持ち合わせる。この辺の技術力の高さは並大抵のものではない。そしてインテリアを覗き込めば、そこはラグジュアリーの巣窟。スポーティなラグジュアリーサルーンをそのままSUVに仕立て、パッセンジャーに快適な空間を提供する。SUVは2ボックスなのでキャビンの広さを十二分に取れるのがメリットである。


 
ベンテイガV8はそんなベンテイガファミリーの中ではある意味エントリーモデルになる。というのも、12気筒モデルとの価格差は800万円少々、その上のスピードとの差はおよそ1000万円となるからだ。というか、2000万円というプライスタグは2004年にコンチネンタルGTがデビューした時の衝撃的な価格設定。ベントレーというブランドの車を手に入れようと考えると、夢のような値段なのだ。


 
でもって、パワーは十分。4リッターV8ツインターボは550psを発揮する。しかもトルクは770Nmとレーシングカークラス。有り余るトルクがクルマをグイグイ押し出す感じが得られるのだ。さらにいうと、同じベンテイガでもW12モデルと違って、車の挙動がドライバーにしっかり伝わり運転を楽しくしてくれる。ロールもW12のようにピタッと抑えるのではなく、若干車体を傾けることで操り感を演出している。それでいて、エアサスのセッティングに長けるベントレーらしく、乗り心地は常に快適。ドライブモードを上手に使って、スポーティにも走れればサルーン感覚で高速道路をクルージングすることもできる。かなりの高次元で。その意味では乗れば乗るほど、バーゲンプライスに思えてくる価格といえそうだ。

次回は、コンチネンタルGT コンバーチブルをお届け。


文:九島辰也  写真:佐藤亮太

文:九島辰也  写真:佐藤亮太

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