いかにして後輪駆動のランチア 037は四輪駆動のクワトロを破ったのか?

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1970年代に圧倒的な強さを示したストラトスと同じように、1980年代の037ラリーもまた国際ラリーの世界に忘れることのできないインパクトを与えた。
 
1982年に正式なコンペティション・デビューを果たした037は、1972年に登場したストラトスに優るとも劣らないほどの革新性を秘めていた。グループBのスーパーカーとしてもっとも早く送り出された1台であると同時に、サーキット用レーシングカーの技術を多く採用したモデルでもあった。ケブラー製のボディワークに身を包んだミッドシップの2シーターで、フィアットが源流の4気筒2ℓエンジンを搭載。ただし、アバルト(当時はフィアット・ランチアのファミリーだった)が開発した軽合金製16バルブDOHヘッドとルーツ式スーパーチャージャーが組み合わされ、300bhpを生み出した。
 
初年度は信頼性の問題に苦しんだものの、1983年には歯車が噛み合い始める。037は素早く、敏捷で、信頼性が高く、アッティリオ・ベッテーガ、ヴァルター・ロール、マルク・アレンといったドライバーに栄冠をもたらした。アウディとの激戦はいまも語り草となっているが、ランチアはわずか2点差でコンストラクターズ・チャンピオンシップを制覇。翌年はクワトロの後塵を拝したものの、このときにはすでに037はラリー史にしっかりとその名を刻み込んでいたのである。

編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Massimo Delbò 

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