映画『ブリット』で使われたマスタングがオークションに

映画『ブリット』のマスタングが新たな一章をめくる。撮影で使われたこの伝説的なマスタングは、長年、信頼の絆で結ばれた家族の間で静かな余生を送ってきた。それだけに、一抹の寂しさも感じる。
 
家族が守ってきたこの大きな秘密については昨年『Octane』も伝えた。デトロイト・モーターショーで、フォードが最新のブリット仕様マスタングを発表した際に姿を現し、世間を驚かせたのだ。これこそマックイーンが運転したマスタングで、サンフランシスコのカーチェイスで使われた2台のうちの1台。映画の宣伝ツアーを終えるとすぐに売却され、数ある劇中車の中でも特にその行方が探索されていた。


 
最初に購入したのは脚本家のひとりで、それから1 年ほどで『ロサンゼルス・タイムズ』に広告が掲載された。それを刑事のフランク・マランカが購入。その後、『Road & Track 』誌に再び販売広告が出され、ロバート・キアナンが6000ドルで入手した。キアナンは、『ブリット』の劇用車だという話には半信半疑だったものの、ちょうど似た車を探していたのである。
 
1974 年から1980 年までは家族の足として使われていたが、クラッチが故障して走行不能となった。マックイーンは1977 年にキアナンからマスタングを買い戻そうとした。そのときの手紙もヒストリーファイルに含まれており、本物であることに疑いの余地はない。マスタングはキアナン家と共に何度か国内を移動したが、正体はずっと秘密にされていた。2001 年にフォードが最初のブリット仕様を発表すると、キアナンはマスタングを再び走行可能な状態に戻そうと決意する。しかし、オリジナルの状態をできる限り守る必要があることは承知していた。


 
キアナンは2014 年に死去したが、息子のショーンが父の遺志を継いで仕事を完成させた。フォードが本物であることを認定しており、証拠書類も豊富だ。2020 年にミカムのオークションに登場するが、価値は計りがたいので推定額は出ていない。ただし、最低落札価格の設定はなしで出品される。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) 原文翻訳:木下 恵 Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) Translation:Megumi KINOSHITA

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