1980年代縛りで楽しむクラシックカーラリー「RALLY DE VANDOME 80」

Words&Photography:Arisa URIU(Octane Japan)

フランス・パリ市内の西側に位置するヴァンドーム広場に、38台のクラシックカーが集結した。他のラリーと少し違うのは、すべての車が1980年代生まれであること、そしてそのオーナーのファッションも80’s。つまり80年代をテーマにした時代を楽しむクラシックカーラリーであることだ。

オクタン編集部に所属して4年目の私は、人生で初めて、ラリーに参加することになった。今回は、ラリーのスポンサーであるモデルカーブランドのSparkが、ガルフレーシングジャパン 国江仙嗣氏を招待。そして私は、そのコ・ドライバーとして参加する機会をいただいた。


スタート時、このあと待ち構えている多くの難関を、この時は考えもしなかった。

Rally de Vandome 80という名のこのイベントはG TシリーズなどをオーガナイズするSROが主催で本年が初開催。その名の通り1980年代をテーマにしたツーリングラリーである。それも車だけではなく、その他のコンテンツに関しても徹底されるといい、さらには車とファッションのコンクールまで開催されるという。90年代生まれの私にとって、日本の80’sはもちろん、フランスや海外の流行や文化は未知の世界である。



彼女はファッション部門で優勝したアビー。参加者は思い思いの80’s スタイルを装って楽しんだ。車に合わせたり、パートナーとコーディネートしたりと様々。80 年代の捉え方もちょっとずつ違う。

しかし困ったことに初開催のため、前例がなく、イベントの雰囲気を予測する手がかりは概要書のみ。確認すると、そこにはビビッドカラーのメイクを施し、縮れたブロンドをライオンのたてがみのようにかき上げ、体のラインがぴったりと現れる原色ドレスをまとった女性が写っていた。心持ちはほんのすこし、不安であった・・・





イベントのスタートはゆるやかで、初日は14時頃よりヴァンドーム広場に続々と参加者が集まってきた。全ての車両が集まった午後18時半からさっそく、コンクールデレガンスの審査が始まる。評価対象は参加者のファッションと車。それぞれの参加者が自分の想う80年代スタイルをポージングを含めて審査員にプレゼンテーションする時間が与えられる。厳密な審査の後、ヴァンドーム広場のすぐ前にあるホテル リッツパリでガラディナーが行われた。



会の最後にはコンクールの受賞者を発表。皆が発表者の口元を注視するなか、「アビー」という名が読み上げられた。聞くと、彼女はなんと26歳。モータースポーツコーディネーターとして働くキャリアウーマンだ。参加者全体の平均年齢は50代前後といったところだろうか。そんななか、ひときわドライブやファッションを楽しんでいたのが彼女だった。もちろん80年に彼女は誕生してはいないので、参加にあたっては"80’s "というテーマからたくさんイメージを膨らませて勉強したのだという。ちなみにすべての服はロンドンの街をたくさん回って見つけてきたそうで、その意気込みからも彼女のパッションを感じていただけるだろう。


 
また、惜しくも優勝は逃したが、入賞者の中には親子での参加者の姿もあった。まだ幼い子どもたちもまるで当時を知っているかのように派手なスタイルに身を包み、カメラを向けると大人顔負けの表情とポージングでパフォーマンスをしてくれた。ファッションをうまく融合させたコンテンツのおかげか、男性の参加者が多いなかでも、女性が華やかに楽しむ姿をみられた素敵な夜であった。

文・写真:瓜生ありさ(オクタン日本版編集部) 

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