車が好き?バイクが好き?それなら僕らは仲間だ。そうやって集う週末。「Motors & Soul」

Photography:Tomonari SAKURAI

ネットで知り合ったいくつかのツーリングクラブが集まったオフ会。それがきっかけとなって出来たイベントがこの"Motors & Soul"。今回で6回目を迎えた。イベントとして始めた2014年には500人程度だったが、昨年にはすでに1万人の来場者を記録。オーガナイザーのステファン氏は「車やバイク好きのエンスージアストの集まり」だという。

特定したメーカーや車種などはなくとにかく車やバイクが好き。それは運転すること、旅をすること、カスタムをすること、レストアをすること、何でも車好きならば仲間だという集まりだ。フランスでよくあるクラブや、アソシエーションのように毎週の集会に集まるだの、細かいことは言わないひとつのコミュニティ。垣根や拘束がない分、何ともアットホームな雰囲気だ。はじめはアメリカンあり、最新モデルあり、クラシックありオートバイあり…なにかつかみ所の無いイベントのように感じたが、会場を歩いているうちに声をかけられたりして話をする。そんなことをしているとこの会場内が本当に温かい雰囲気で、妙に心地よくなってくる。

参加する車両は21世紀の車も旧車も一緒だ。”車好きが”参加の条件だ。
 
そんな風に感じてきたところでステファン氏にインタビュー…実はこのイベント、フェイスブックのイベント案内で見つけて連絡を取ったのだった。そのため、日本人の僕が来ることを事前から分かっており、それに大変興味を持ってくれた。入り口で受付を済ませると「ステファンが待ってるから必ず声をかけてくださいね」と。会場を歩いていても日本人らしき人物は僕だけなのでスタッフの数人に「ステファンに会った?」と声をかけられる。相当会いたがっているようだった。つかまるようにしてステファンさんと話しが始まった。僕がこの会場に来たことを非常に喜んでいてくれた。このコミュニティーに日本人が参加したことを大変喜んでいてくれた。


「参加するみんなが家族みたいなもんだよ」満面の笑みを浮かべるオーガナイザーのステファン氏 (Mr.Stéphane Lhuillier)。

オートバイの多くが日本車という事もあり、日本に興味のある人たちも多く他のイベント以上に日本歓迎ムードが高かった。キッチンカーが並んでいるフードコーナー。ホットドッグやハンバガーがほとんどだが、今回初めてちらし丼専門の日本食のキッチンカーが。そこでお昼を買った面々がわざわざ、僕に「ランチは刺身に寿司だよ!」と見せに来てくれるほど….
 
バカンス明けの最初の週末。9月7日、8日。会場はパリから30分ほど西に行ったシャトー・ドゥ・ヌーヴィル。7月に出かけたシトロエン100周年のラ・フェルテ・ヴィダムの途中にあるお城だ。ヴェルサイユと同じで城と言うよりも宮殿に近いもの。門をくぐり、並木道を少し行ったところにその城はあり、その落ち葉が降り始めた並木道を走るのは何とも気持ちがいい。そこに続々集まる車たち。駐車スペースとは別にこの宮殿の正面に並べられた車やバイク達は”コンクール・ド・スタイル”にエントリーした車両たちだ。コンクール・デレガンスではなくコンクール・ド・スタイルという名称にこだわった。


ESPACE LIFESTYLEの入り口。


そこに広がる世界。

昨年の優勝者のトライアンフ・サンダーバードにエイボンのフェアリングを付けた、ストリームライナー。そのオーナーも当時の出で立ちだ。ステファンさんから「彼の前でコンクール・デレガンスと言わないでね」と言われた。エレガンスではなく、スタイルなのだ。そのニュアンスの違いはエレガンスだと貴族や上流社会の極限られたお金持ちの趣味というのに対してスタイル、と言うことでライフスタイルなのだと言う違いのようだ。この辺りにMotors & Soulの精神が表れている気がした。”ESPACE LIFESTYLE”と言うコーナーがありそこにはバイクや車にインスピレーションを得たアートなスペースから、カスタムビルダーなどが展示されている。

昨年のコンクール・ド・スタイルで優勝したエイヴォンのストリームライでフルカバードのトライアンフ・サンダーバード。
 
人がメインの何ともアットホームで温かいイベントがすでに秋の気配を見せ始めた、フランスの季節にぴったりのイベントとなっていたのだった。

文:櫻井朋成 words: Tomonari SAKURAI

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