マクラーレンF1対P1 究極のサーキットウェポンはどっちだ

octane UK

1995年にル・マン総合優勝を成し遂げたマクラーレンF1-GTRと、約20年後に誕生したP1-GTR。2台のサーキット専用モデルをシルバーストンで試した。早朝のピットレーンに、6.1リッターV12の爆音がこだまする。ピンクフロイドのドラマー、ニック・メイソンが所有する1996年製マクラーレンF1-GTRだ。



中央に位置するシートに乗り込むと、車内の雰囲気に圧倒された。ステアリングの横には無数のスイッチが並ぶ(37まで数えてあきらめた)。クラッチペダルを踏むと、重さで膝上の筋肉が震えた。Hパターンのシフトを1速に入れ、クラッチをつないで慎重に発進する。度肝を抜かれたのがスロットルレスポンスとエンジンノイズだ。ストレートで初めて踏み込んだときの衝撃は笑えるほどだった。驚異的な加速は病みつきになる。当時いかに優れたウェポンだったかを実感できた。私はたった5周で体がボロボロになったから、これでル・マン24時間レースを戦ったドライバーの体力には恐れ入る。



次は2015年製マクラーレンP1-GTRを試す番だ。P1のオーナーのみに販売され、国際サーキットでのドライバートレーニングが付属した。ツインターボの3.8リッターV8エンジンを搭載するハイブリッドで、出力1000PS、トルク1000Nmを誇る。ところがインテリアは拍子抜けするほど“普通”で、レーシングカーというより公道仕様のスーパーカーの趣だ。威圧的でないマシンにすることが開発コンセプトというだけあって、乗り心地ははるかに柔らかく、ステアリングもアシスト付きで段違いに軽い。何より印象的なのが制動力とコーナリング能力だった。F1-GTRと違って肉体的負担はなく、完成度と驚嘆の大きさでは上回る。それほど速く、エキサイティングなのだ。



だが、あと5周走っていいといわれたら、私が選ぶマシンは決まっている。それは1000PSのP1-GTRではない。マクラーレンといえども、過去の金字塔を上回るのは至難の業なのだ。

文: Octane UK 抄訳:木下恵

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