世界中から1万台のシトロエンがフランスに!│100周年記念イベント現地レポート②

Photography: Tomonari SAKURAI

2019年7月19日から3日間、ラ・フェルテ=ヴィダム(LaFerté-Vidame)でシトロエン100周年を記念するイベントが行われた。フランスをはじめ世界各地で100周年記念イベントが開催されているが、これはシトロエンが主催する正当なイベントである。フランス国内からはもちろんのこと、ベルギーやドイツ、イタリアなどお隣の国から、はたまたチェコやロシアなど遠くからの参加もあり、その台数は1万台を超えた。各車種を年代毎に駐車したスペースそのものが広大な展示場となっているのだ。

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ミシュラン工場改築で壁の中から出てきた貴重な2CV(TPV)のプロトタイプ3台。

シトロエンと言えば2CV。今回シトロエンの展示で披露された3台の2CV。錆びて埃まみれのその3台は2000年にミシュランの工場を改築する際に壁の中から現れたプロトタイプだ。2CVの発表は1948年だが開発は第二次世界大戦以前から始まっていた。ドイツに占領されたフランスでシトロエンはその開発を中止。プロトタイプのほとんどを破壊したり、壁に埋めて隠したりしたのだった。当時の親会社だったミシュラン工場の壁に埋められたこの3台は2000年に発見されるまで静かに眠りについていたわけだ。3台とも原形をかなりとどめており当時大型車から小型車へシフトしていくシトロエンの情熱が伝わる貴重な3台だ。

パリ近郊で2代にわたって、シトロエンをメインにしたアトリエを営むブルノ氏。彼はちょっと変わった記録の持ち主である。"2CVを42分で全てバラす"という内容だ。その話を聞いたとき、それがどういうことなのか今ひとつイメージが湧かなかった。それがこの会場で明らかになった。ヨーロッパ中から集まったシトロエンのクルマたち。その駐車場兼展示場で大道芸人よろしく大声を張り上げ、行く人の足を止めて笑いを誘っている一角があった。

4人が手際よく組み立て始める。

その人だかりの中心にはバラバラになった2CVがあった。シャシー、タイヤ、エンジン、ボディ、シートにドアが外されて置かれている。それを、積み木をするように4人の男たちがお喋りを交えながら1分ほどで組み立て上げる。そしてエンジンをかけて走り去っていくのだ。これを見て、ブルノ氏を思い出した。なるほど。2CVはこうも簡単にばらすことが出来るのだ。そんなことを思っていると外装を外したDSがやってきて「道を開けろ!」と怒鳴り込んでくる。それがブルノ氏だった。DSも外装やシートなどはほんのわずかな時間で脱着しているがさすがにエンジンまでは2CVのようには行かないようだ。

外装のないDSが登場し道をあけろ!とまくし立てる。その声は…ブルノ氏本人だ… DSの外装のとり外しのパフォーマンスも見せていたのだ。

そんなブルノ氏のパフォーマンスは会場のあちこちでゲリラ的に行われていた。会場入りする前日すでに周辺はシトロエン渋滞。ラ・フェルテ=ヴィダムの街もシトロエン一色になりつつあった。会場を埋め尽くすDSもいいけれど、街の中にいるDSの方が絵になる。

会場周辺もシトロエンで一杯!DSブレイクの救急車仕様はオランダから。

フランスの生活に密接な車のひとつにシトロエンHバンもあるだろう。FFで荷台がフラットなこと。フラットな車体がちょうど看板にするのにも都合が良く色鮮やかなHバンが当時あちこちで見られたわけだ。そんなHバンは今でも屋台として活躍している。会場のフードホールとなった一角ではHバンがずらりホットドッグやハンバーガーは元よりサラダバーに、地元のソーセージやハムを販売するHバンと訪れたシトロエンエンスージアストの胃袋も満たしてくれていた。

こちらは会場で働くHバン。

さて、次回はここで発表されたコンセプトカーをはじめまだ紹介していないシトロエンたちをお送りすることにする。お楽しみに!

Words & Photography: Tomonari SAKURAI

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