環境性能と日常性を高めてレストア 美しくも素晴らしい実用シトロエンたち

納得のいく車両を環境性能や日常性まで付加してレストアするJAVEL。オーナーは普通にメインカーとして、日々の通勤や所用などに使っているという。そのこだわりやスタイルなどを代表の竹村さんにお聞きした。

そもそもは「町の修理工場」だった。創業は1952年。創業当初の取り扱い品目はオートバイで、数年後からはオート三輪や軽自動車の整備も行うようになった。
 
そんな「竹村モータース」が現在の『JAVEL』へと変容したきっかけは、当時の竹村モータースに所用でやってきたブローカーが、まだ20歳の大学生だった現社長・竹村洋一さんに「コレ、ちょっと乗ってみる?」と、一台の車を勧めたことだった。


 
竹村モータースと洋一氏の運命を変えたその車の名は、シトロエンGS。「ハンドリングもスペシャルな内装も、とにかくすべてが『素晴らしい!』と思いましたね」
 


大学生ながら、当時すでに家業の手伝いにかなりのウェイトを置いていた洋一青年はその後、家業の取り扱い品目を徐々にシトロエンへと寄せていき、ご本人いわく「いつの間にか」というニュアンスでシトロエン専業店に。そして1987年には当時の正規インポーターだった西武自動車の地区販売代理店となり、西武自動車の撤退により代理店契約が解消となった後、現在まで続く『JAVEL』としての活動をスタートさせた。

「JAVELとはどんなお店か?」という問いに対してのいちばんシンプルな回答は、「新旧シトロエン各モデルを整備し、そして販売している専門店です」ということになる。
 
だが、そのように説明すると「あぁ、要するに中古車屋さんですね」という理解になる場合が多いはずだが、それは少し違う。JAVELは、世間一般で言う中古車販売店とはかなり趣が異なっている。どういうことかといえば、JAVAELにシトロエンを買いに行っても、すぐには買えないのだ。


 
竹村洋一さんご本人の言葉で説明しよう。「DSでもCXでもGSでもいいのですが、『欲しい、買いたい』というお客様がいらっしゃったら、希望の車を現地(欧州)で30年つきあいのあるシトロエン専門家でドイツ人のハンスが見てきて、大丈夫な車両を持ち込みます。それをこちらでレストアを行い、最終チェックとして私が毎日の通勤やらでダメ出しを延々と続けます。これなら問題ない、となってからのお引き渡しです。それが何度もダメ出しを続けるのでいつになっても終わらない…、遅いと言われる所以です。最近は、海外のレストア業者とも協力して、現地でレストアをした後、ハンスが試乗とダメ出しを数回行ってから国内に持ち込む試みも始めています。これによりDSのレストア時間が短縮される予定です」

そのため、納車までにはどうしても時間がかかる。CXで1年、DSで2年から3年ほどというのがひとつの目安となるという。


 
だが時間をかけるだけあって、そのクオリティは圧倒的だ。JAVELでレストアされた往年のハイドロシトロエンは2019年の今、各オーナー氏がごくごく普通にメインカーとして、日々の通勤や所用などに使っている。自社でレストアした車に関しては、クラシックシトロエンとしては異例の「長期保証」を付けるのも、JAVELのクオリティと自信のほどを間接的に証明しているといえるだろう。
 
また、レストアと同時に「環境性能の向上」にも最大限注力しているのが、JAVELのもうひとつの特徴だ。CXに関してはエンジン制御配線とエンジン制御システムを現代の製品と入れ替えることで、排気ガス浄化を行うと同時にエンジン性能と燃費を向上。そしてCX以外のモデルについては、ラムダセンサーからの信号を元に排ガス制御を行う独自開発の排気ガス浄化装置を、すべての新規レストア車両に標準装着している。
 
そのほかDSに装着するエアコンは、国産のエバポレーターユニットを使って吹き出し口を理想的なセンター出しにするなど(しかもそのビジュアルは「……純正か?」と思うほどに自然!)、快適性に関しても抜かりはない。
 
これら諸々の事柄やアイデアはすべて、竹村さんならではのシトロエン観に基づいている、といえよう。そのシトロエン観とは、筆者が理解したところによれば「とにかく足として毎日普通に使える、美しくも素晴らしい"実用車"であってほしい」というものだ。


 
ただガレージに飾るのではなく、あるいはごくたまに開催されるイベントなどだけに乗って行くのでもなく、使う。乗る。そして、シトロエンとともに生きる。そういったスタイルあるいは思想に共鳴する人にとって、JAVELほど頼りになるスペシャリストはそうざらに存在するわけではない。猛烈に、強烈に、一度訪ねてみることをおすすめしたい。

ジャベル
〒142 - 0063 東京都品川区荏原2 - 18 - 10 
TEL:03 - 3784 - 5051
営業時間:9 : 00~18 : 00 
定休日:月曜日、第2・4日曜日、祝日 http://www.javel.co.jp/

文:谷津正行 写真:大子香山 Words:Masayuki TANITSU Photography:Kazan DAIGO

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