世界的ポルシェコレクターが 「スラントノーズ」を求め続けた理由とは?

Porsche AG

倉庫が並ぶロサンゼルスのダウンタウンに、オイルとガゾリンが混ざった匂いをほのかに感じる一つの倉庫がある。ライトが点くと、誰しもが息を呑むであろう。そこに並んでいるのは世界的ポルシェコレクター、マグナス・ウォーカーのコレクションだ。壁から壁までポルシェのポスターが並び、オリジナルの空冷911から完全なモディファイがされたもの、ターボモデルに、トランスアクスルモデルまでがずらりと並んでいる。そして現在、そのコレクションのセンターを務めているのは、レッドに身を包んだ911 "スラントノーズ"である。

「1年近くスラントノーズを探していたんだ。マイアミまでドライブして探しにも行ったし、飛行機でヨーロッパにも行った。インスタグラムとフェイスブックに探していることを投稿したらたくさんのレスポンスをもらって中には貴重なものも色々とあったけれど、どれもピンと来なかったんだ」

今でも街を走っているスラントノーズは極めて珍しく、マグナスのスラントノーズを求める旅は長くなるように思えた。「結局、購入した1台はLAにあったんだ。しかも、家から10マイルも無いところにね」



スラントノーズを彼がここまで求めていたことを不思議に思う人もいるかもしれない。しかし、ポルシェ935を崇拝する彼にとってはスラントノーズを手に入れることは意味があるのだ。また、スラントノーズは彼にとって大事な思い出でもあるのだ。「ポルシェをはじめて買ったのは1992年だった。レッドのスチールボディの74年製 911スラントノーズ コンバージョンで、マイアミの雰囲気にぴったりだったんだ。周りの人が嫌おうが、自分の中では常にベストだったね」

「正直、この車はショーに出せるようなものでもないし、見た目ほどのパワーは持っていない。いずれ、ターボエンジンに換装して500hpまでにパワーアップさせようと思ってはいる。あくまでも、レースカーではなくロードカーだしそんなに大きなパワーを持つ必要はないけれど、見た目相応であるべきだろう?」

本格的にアウトロー仕様にするならば、このままの柄では合わないのではないだろうか。「70年代と80年代のコカ・コーラやハワイアン・トロピック、MOMOのデザインにするのはどうかと言ってくる人も多いけれど、ちょっとやり過ぎな気がしてね。まあ、その時が来たらなにかするよ」

何にせよ、マグナスは車を磨くより走ることのほうが好きなようだ。このスラントノーズと共にイベントに訪れる彼も見ることができるであろう。「持っていたスラントノーズを売ったのは2000年のことで、それからずっと寂しかったんだよ。はじめて買ったポルシェは、自分にとって夢を叶えることができた1台であることも意味しているし、自由を得ることができたように感じたんだ。それは今でも変わらないよ。これからもね」

オクタン日本版編集部

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