ブガッティの超ヒット作!│子供用ブガッティ「ベベ」の正体とは?

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6歳か8歳の子供たち用のサイズだったので、足もとを長くするため、ホイールベースは1299mmから1359mmに延ばされ、全長1800mmとなった(車幅は625mmで変更なし)。この本物のタイプ35を少し変形させた様な見た目ではあったが、もちろんベベはおもちゃとして長く愛された。見た目を改善するためボンネットのルーバーの数を21に増やした。

ベベはとても高価だったが、そのことは人気の妨げとはならず、1927年から1936年の間に500台以上が作られた。モロッコのハッサン王子も有名なミニパイロットの一人だった。天気のいい日、ドーヴィルやモンテカルロの様な洒落たリゾート地にはフランスのエリートたちが集い、子供たちがベベで競争をするのを見ていた。まるまると太った子供たちは、泣くはめになったり、かんしゃくで車を蹴散らしたりしたのは言うまでもない。68kg/150lbの車は、最高速度11mphで行けるところ、余分な重量によって著しくスピードダウンしたのだ。



これらは希少価値のあるブガッティが製造したものではあるが、現在は、その中の1台で以前ブリッグス・カニンガムが所有していた初期の頃のタイプが、Gooding&Co.によって当初の予想価格6万ドルを大きく超え、11万ドルで販売された2008年の不況以前よりもかなり値が下がっている。2011年には、ロンドンで別の1台、シャシー449がRMオークションで、25,640ポンドで落札された。

世の中には、たくさんのコピーも出回っている。それらは、本当のエットーレから出されていないかもしれないが、かなり安く、Crosthwaite & Gardinerのものは、ボンハムのグッドウッド・リバイバルで9月に6,000ポンドで売られた。一方Tula Engineeringは、1970年代からグラスファイバーとアルミニウム、カートのエンジンを使って縮小版のタイプ35を作っているが、1台8,500ポンドぐらいだ。素晴らしい出来だが、本物ではない。本物は、シャシー番号が小さな犬の首輪タイプのタグで、ラジエーターグリルの中に溶接されている。

あなたがこのタイプの子供のおもちゃを探し始めると、何度もベベがタイプ52と呼ばれていることに気づくだろう。工場でこの車にこの番号が付けられたと言う証拠は全くない。実際、タイプ52またはT52というコードは、正式には途中で放棄されたタイプ46を改善する目的の4バルブシリンダーヘッドの5リッターエンジンのプロジェクトに付けられていた。

1927年5月20日付のオリジナルの図面には、単純に『タイプベベ』と書かれていた。この混乱は、ブガッティの第一人者ヒュー・コンウェイが1963年に、彼だけが分かるためにタイプ52と呼んだのが原因の様だ。恐らくブランドの複雑な歴史を自分自身のルールで整理する時にそう呼んだのだろう。紛らわしいが、彼はブガッティの世界に多くの貢献をしたので、許そうではないか。

Words:Giles chapman 訳:古川浩美 (Ruoteleggendarie)

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