シトロエンの消防車も!個性派商用車の系譜

PEUGEOT CITROEN JAPON

創業まもなくから製造され続けている、ユニークな形と実用性が魅力の商用車たち。シトロエンは1919年に創業してまもなく、商用車をつくり始めた。タイプAやタイプBのシャシーを用いて、さまざまな商用車に仕立てたのである。なかにはタイプB2ノルマンドのような貨客両用車もあり、これはユーザーに支持され、のちの2CVやベルランゴの祖先といってもよい車であった。
 
1930年代には「23」や「45」といった純粋なトラックもつくるようになる。このシリーズは戦後「45」が「55」に進化し、プジョー傘下に入る頃までつくられ続けた。しかし1972年をもって、シトロエンはトラック部門から撤退することになる。最後につくられたタイプNと呼ばれる「350」と「600」のトラックは、その独特なデザインで存在感を示していた。


 
シトロエンのユニークさが発揮された商用車としては、トラクシオンアヴァンの前輪駆動ユニットを活かした1938年発売のTUBがあり、これは戦後タイプHに発展した。専用設計の純商用車は、PSA時代には合理化が図られて、フィアットと共同開発されるようになった。タイプHの後継役はC25/C35という手がたい商用車で、その後これはジャンピー/ジャンパーへと名を変えている。
 
そのいっぽうで、乗用車の派生モデルとしての貨客両用車の系譜は、戦後は2CVフルゴネットから始まって、今日まで発展を続けている。フルゴネットとは小型の貨物車という意味で、2CVの後半部分だけを有蓋の貨物車仕立てにしたのだが、それをまた乗用にした仕様もつくられて、次第にその需要が多くなる。2CVフルゴネットの次はディアーヌ・ベースのアカディアーヌ、さらにヴィザ・ベースのC15となり、ついに1996年に車体まるごと専用仕立てとなった独立MPVモデルとして、ベルランゴが誕生する。


 
ベルランゴは貨物専用車と、乗用モデルが両方仕立てられたが、この乗用モデルのほうを、フランスではルドスパスと称するようになる。ようは遊びに使えるMPVということで、C4ピカソなどもこれに分類されることがあるが、ライバルのルノー・カングーよりはベルランゴのほうがひと足早く発売されている。ルノーとは、2CVフルゴネットと4(キャトル)フルゴネットの時代から競合関係にあったが、この2車の場合も2CVのほうが間違いなく元祖なのであった。ベルランゴは順調に進化し、2018年に3代目モデルが発表されている。

文:武田 隆 Words:Takashi TAKEDA

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