ジャガー Eタイプの中で最も安く手に入る1台とは?

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Eタイプの中で最もルックスがいいのはシリーズⅢだという人はまずいない。単に過去の栄光に長くしがみつきすぎたモデルなのか、それとも、1960年代の真のスポーツカーと1970年代のスポーツ・ラグジュアリーカーとをつないだ重要な橋渡し役だったのか。その答えは現代を見れば明らかだ。今やスポーツカーといえども、すべてが電動で空調やATを装備するのが当たり前になっている。
 
ボナムスに登場した2+2クーペは、ボディカラーがフォーン、インテリアカラーがビスケットで、ATを装備。シリーズⅢはすべてV12 エンジンだ。新車で購入したスイスのオーナーの元で大切にされていたようで、ボディのペイントはカタログには「オリジナルの可能性も」とある。インテリアは間違いなくオリジナルだ。シートのステッチに至るまで、まるでブラウンズレーンのファクトリーから納車されたばかりのようだ。こうした美点にもかかわらず、2+2でATの場合、シリーズⅢの中でも人気は最低レベル。つまりはEタイプの中で最も安く手に入る1台といえる。
 
たしかにシリーズⅢは希少なスペシャルモデルではないが、単なる宣伝上の失敗作でもない。当時としては優れた設計で、時代に影響を与えた重要なモデルだ。ただ、自動車史上最もハンサムで、しなやかな筋肉質の肉体を持つ兄と比べられ、太めの弟分と見なされてしまうだけのこと。特にこの車は見た目通りの美しい1台のようだから、2万9120ドルという落札額は、保存状態のよいEタイプの価値をはるかに下回る金額だ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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